しかし、私たち人間は定められたものに定められた意味しか読みとらないというような存在ではありません。機械ならばその状況にとどまっているでしょうが、人間はそうはいきません。たとえば、朝起きて雨戸を開けた時にたまたま感じた明るい日差し、すがすがしい空気の肌ざわり、そして小鳥の囀(さえず)り —— 今日はなんとすばらしい日なのだろう、きっと何かよいことがあるに違いないと思ったりすることはないでしょうか。何でもないことに意味を読み取るのです。(現代に生きる私たちの多くは迷信を脱却したと思っていますが、(1)迷信を作り出すもととなるような力は、このようにしてあいかわらず私たちの中に生きています。)あるいは、ある女性が日頃とは違った髪型なり服装をしてきたとしたらどうでしょうか。今日の彼女はいつもと違う、何か——もしかしたら何か喜ばしいことでも——あるのではないか、と思ってみたりします。やはり、(2)そこにある意味を読みとっているのです。私たちが意味を読み取るのは、( (3) )その女性の髪型なり、服装なりも、私たちにとって「言語らしいもの」となります。このように考えてきますと、私たちがどれくらい多く「言語らしいもの」によって取り囲まれた環境の中で生きているかは明らかでしょう。
問1 (1)「迷信を作り出すもととなるような力」にならないものはどれか。
1 晴れた空を見て今日はすばらしい日だと思うこと
2 人の話を言葉の意味どおりに受け取ること
3 人の服装を見てどんな人か判断すること
4 自分を見ている人は自分のことが好きなのだと思うこと
問2 (2)「そこ」とあるが、どんなことを指しているか。
1 みんなが信じている迷信
2 いつもとちがう髪型や服装
3 いつもと同じ髪型や服装
4 幸せそうな女性
問3( (3) )に入る最も適当な文はどれか。
1 意味だけからではないのです。
2 言葉ばかりからではないのです。
3 言葉だけからです。
4 言葉に意味があるからです。
問4 この文章の内容と合っているものはどれか。
1 私たち人間は言葉以外のものからも意味を読み取る。
2 私たち人間は言葉でしか意味を読み取らない。
3 私たち人間は喜んだり悲しんだりするものだ。
4 私たち人間は言葉を作り出すものだ。
(池上 嘉彦『ことばの詩学』岩波書店同時代ライブラリー)
問1 (1)「迷信を作り出すもととなるような力」にならないものはどれか。
1 晴れた空を見て今日はすばらしい日だと思うこと
2 人の話を言葉の意味どおりに受け取ること
3 人の服装を見てどんな人か判断すること
4 自分を見ている人は自分のことが好きなのだと思うこと
問2 (2)「そこ」とあるが、どんなことを指しているか。
1 みんなが信じている迷信
2 いつもとちがう髪型や服装
3 いつもと同じ髪型や服装
4 幸せそうな女性
問3( (3) )に入る最も適当な文はどれか。
1 意味だけからではないのです。
2 言葉ばかりからではないのです。
3 言葉だけからです。
4 言葉に意味があるからです。
問4 この文章の内容と合っているものはどれか。
1 私たち人間は言葉以外のものからも意味を読み取る。
2 私たち人間は言葉でしか意味を読み取らない。
3 私たち人間は喜んだり悲しんだりするものだ。
4 私たち人間は言葉を作り出すものだ。