日本のくらしと文化

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1
初級後期~中級前期の読み教材
日本のくらしと文化
日本語駆け込み寺教材開発部
      代表 目黒真実
2
3
前 書 き
 この教材は、初級の後半から中級前期かけて使う読解教材で、これまで学ん
だことの復習と中級への渡り教材として作成されました。
 本教材は、最初、< WEB:日本語駆け込み寺>の使用権フリーの教材「く
らしの歳時記」として作成されました。それを元にして、教室で使用する教材
へと編集し直し、更に第二部に「くらしのマナー」をつけ加えたのが、この「日
本のくらしと文化」です。
 本教材は、言葉と文化は切り離せないものだとの考えから、「日本人のくら
しと文化」を外国の日本語学習者に紹介する目的で編集されています。この教
材を通して、学習者の皆さんが、日本という国、また日本人のくらしと文化が
いかに東アジアと深く結びついているかを知っていただければ幸いです。昨今、
日本とアジアの間には憂うべき事態も存在していますが、それを乗り越えて人
と人の交流が進み、友好関係が育つことを願ってやみません。
 なお、作成に当たっては、「 フリー百科事典『ウィキペディ(Wikipedia)』」
をはじめ、「イラストレーターわたなべふみ・WEB に無料で使えるイラストク
リップアート・フリー素材」「学校イラスト素材」「教師のコンビニ」など、善
意あるフリー素材集を提供してくださっているWEB から、多くのイラストや
写真を使わせていただきました。使用権フリーの教材を公開している「日本語
駆け込み寺」の代表として、心からお礼申し上げます。
            2006 年8月30 日
4
目   次
第一部 くらしの歳時記
 1月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 2月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 3月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 4月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 5月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 6月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 7月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 8月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 9月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10 月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 11 月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 12 月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第二部 くらしのマナー
 1 お辞じ
儀ぎ
と握あくしゅ手・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 2 あいさつと名めい刺し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 3 上かみ座ざ と下しも座ざ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 4 手て みやげと餞せんべつ別・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 5 面めんせつ接の知ち 識しきとマナー・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 6 会かいしゃ社での言こと葉ば づかい・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 7 二に 十じゅう四し 節せっ気き と季き 節せつの花はな・・・・・・・・・・・・・・・・・
<資料>
 日本史略表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
第一部 
くらしの歳さい時じ
記き
初級後期~中級前期
6
あけましておめでとうございます
             1 月1 日から1 月3 日までを三さんが日にち、1 月7 日
            までを松まつの内うちと呼よ び、この期き 間かんを「正しょうがつ月」と呼んで
            います。元がんじつ日は国こくみん民の祝しゅくじつ日となっていて、官かんこうちょう公庁や
            銀ぎんこう行は12 月29 日から1 月3 日までお休やすみです。
             昔むかしから、1 年の最さいしょ初の日、1 月1 日「元日」は、
            私たちに命いのちを与あたえてくれる" 歳神〔としがみ〕さま
            を迎むかえ、おまつりする日でした。お正月に人ひとと会あ っ
たときには「あけまして、おめでとうございます」と言い いますが、このあいさ
つは、もともとは年としが明あ けて、歳神さまを迎えるときの感かんしゃ謝の言こと葉ば でした。今
でも私たちは歳神さまをお迎えするために、門かどまつ松を門もんの前まえに飾かざったり、鏡かがみもち餅を
供そなえたり、前ぜんじつ日に準じゅん備び したおせ
ち料りょう理り を食べたりしています。
そして、子こ 供どもは親おやや親しんせき戚からお
年としだま玉をもらいます。最さいきん近では、
プラスチック製せいの門松や鏡餅を
使つかったり、おせちをデパートで
買か
う家か 庭ていも増ふ えました。現げんだいじん代人
の暮く らしが忙いそがしいのはわかりますが、できればこういうものは自じ 分ぶんで作つくりたい
ですね。
 さて、今こんにち日では、「歳としをとる」ことは悪わるいように言われますが、もともと「歳
をとる」ことは人ひとびと々に歓かんげい迎されていました。正月、歳神さまは全すべての人や物ものに
新あたらしい生せいめい命を吹ふ き込こ むために現あらわれると伝つたえられています。つまり、「歳をとる」
ということは、一年に一いち度ど 、新あらたに生う まれ変か わるということだったのです。今
の言葉で言いますと、命いのちのリセットですね。
門松鏡餅
1月の行事とくらし
7
三さんが日にち:
松まつの内うち:
呼よ
ぶ:
官かんこうちょう公庁:
迎むかえる:
まつる→おまつりする:
あけましておめでとう:
あいさつ:
もともと:
門かどまつ松:
鏡かがみもち餅:
供そなえる:
おせち料りょう理り :
お年としだま玉:
プラスティック製せい:
暮く
らし:
歓かんげい迎する:
全すべて:
生せいめい命を吹ふ き込こ む:
つまり:
新あらた(な):
生う
まれ変か わる:
リセット:
使いましょう
1 ~から~まで
 ◆ 1 月1 日から1 月3 日までを、三が日と呼んでいます。
 ◇週しゅうきゅう休二ふつか日制せいの会かいしゃ社が多おおいので、    から    までを週しゅうまつ末と呼んでいます。
 ◇私の国では、      は     から     までです。
2 ~たり~たり
 ◆門松を門の前に飾ったり、鏡餅を供そなえたり、おせち料理を食べたりします。
 ◇休みの日は、     たり     たりします。
 ◇今日は     たり     たりの天てん気き になるでしょう
3 ~ために[目的]
 ◆正月、神さまは人や物に新しい生命を与えるために現れると伝えられています。
 ◇私は         ために、日本語を勉べんきょう強しています。
 ◇私の母ははは         ために、毎まいにち日         くれます。   
新しいことば
8
お正月の食べ物 ー祝いわい膳ぜんー
            デパートなどでおせち料理のセット(左の絵)
           を作って売う っていますが、昔は年としの暮く れにお母
           さんが手て
間ま
暇ひまかけて作ってくれました。
            このほかに、汁しるの中なかにお餅もちを入れて食べる「お
           雑ぞう煮に 」があります。お餅の上に色いろいろ々な具ぐ を乗の せ
           て食べます。お父さんたちが楽たのしみにしている
           のが「おとそ」です。お正月に飲の む薬やくしゅ酒です。
実じっさい際には、「おとそ」を飲むのは最さいしょ初の一いっぱい杯だけで、あとは好す きなお酒さけを
心こころゆくまで味あじわいます。これらをお正月の「祝い膳」と呼んでいます。
年としの暮く れ:
手て
間ま
暇ひまかける:
汁しる:
餅もち:
お雑ぞう煮に :
具ぐ
を乗の せる:
楽たのしみにする:
おとそ:
薬やくしゅ酒:
心こころゆくまで:
味あじわう:
祝いわい膳ぜん:
新しいことば
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
☜ 初
はつもうで
詣の様
よう
子す
初詣の参さんぱいきゃく拝客で賑にぎわうお寺てらの様子
です。もともとは地じ 元もとの氏うじがみ神さま
にお参まいりするのですが、最さいきん近は有ゆう
名めいなお寺や神じんじゃ社にお参りする人が
増ふ
えました。
<おせち料理>
9
【話しましょう】
1 日本では、いつからいつまでを正月と呼んでいますか。
2 日本では、元旦はどんな日ですか。
3 日本では、お正月に人と会ったとき、どんなあいさつをしますか。
4 日本人は、お正月にどんなものを食べますか。
5 あなたの国のお正月は、いつからいつまでですか。
6 あなたの国では、お正月に人と会ったとき、どんなあいさつをしますか。
7 あなたの国では、お正月にはどんなものを食べますか。
8 子供のとき、お正月にはどんなことをして遊びましたか。
9 あなたの国にもお年玉がありますか。
10 お正月にする何か特とくべつ別な行ぎょう事じ があったら、話してください。
10
ー1月(睦む 月つき)の暦こよみー
1 初はつもうで詣
 年としが明あ けてから初はじめて寺じ 社しゃにお参まいりして、一年の
無ぶ
事じ
と平へいあん安を祈いのる行ぎょう事じ です。寺社で、お守まもりや破は
魔ま
矢や
、風かざぐるま車などを買ったり、絵え
馬ま
に願ねがいごとを書いた
り、おみくじを引ひ いたりして、今ことし年一年がよい年で
あるようにお祈りをします。
2 年ねん賀が 状じょう
 お正月にお世せ
話わ
になった人や友ともだちに送おくるはがきで、干え
支と
のイラスト
が入はいった年賀はがきに、「謹きん賀が 新しんねん年」「年賀」「新しんしゅん春」「あけましておめで
とうございます」などと大きく書き、メッセージを添そ えます。
3 初はつゆめ夢
 お正月に見る夢
ゆめ
を初夢といいます。その夢の内
ないよう
容で、1年を占
うらな
う夢占
いが古
ふる
くから行
おこな
われています。
4 鏡かがみびら開き(1月11 日)
 1 月11 日は「鏡開きの日」です。鏡開きの日には、今年1 年の一いっ家か
円えんまん満を願ねがいながら、神かみさまに供そなえた鏡かがみもち餅をみんなで食べます。
5 成せいじん人の日(1月の第2月曜日)
          成人の日は、2はたち0 歳になった青せいねん年が両りょうしん親や周まわりの大
         人たちに保ほ
護ご
されてきた子こ 供ども時じ 代だいを終を えて自じ 立りつし、 
         大人の社しゃ会かいへ仲なか間ま
入い
りする儀ぎ 式しき(成人式)を行おこなう日
         です。当とうじつ日は、女じょせい性は振ふりそで袖、男だんせい性はスーツや羽は
織お
り・
         袴はかまなどの正せいそう装に身み を包んだ新成人の姿すがたを見ることが
         できます。
<破魔矢と絵馬>
        
<振袖姿の女性>
11
【書きましょう】
 あなたの国のお正月について書いてください。
12
2月の行事とくらし
「鬼おには外そと、福ふくは内うち」(節せつぶん分の豆まめまき)
               
                もともと、節せつぶん分というのは、立りっしゅん春・立りっ夏か ・
               立りっしゅう秋・立りっとう冬の前まえの日のことを言い いました。そ
               の中なかでは、立春が1年の初はじめと考かんがえられてい
               ましたから、春はるの節分が一いちばんたいせつ番大切でした。今
               では「節分」といえば、立春を指さ すものとなっ
               ています。
               立春は2 月3 日に来ることが多いのですが、
2 日や4 日のこともあります。この日は旧きゅうれき暦で冬ふゆの最さい後ご 、一年の終お わりの日
に当たりますから、新あらたな春を迎むかえるために、
前ぜんねん年の邪じゃ気き を払はらって、福ふくを招まねく行ぎょう事じ が行おこなわれま
す。その代だいひょう表が「豆まめまき」です。
 「豆まき」は、節分の日の夜よる、八時じ から十時
くらいの間あいだに、はじめは玄げんかん関、そして各かく部へ
屋や

と、戸と を全ぜん部ぶ
開あ
けて、大きな声こえで「鬼おには外そと、福ふく
は内うち」を二回かい繰く り返かえしながら、豆をまきます。鬼は一いっ家か のご主しゅじん人や長ちょうなん男、また
は厄やくどし年の人が行っていましたが、現げんざい在は家か 族ぞくで楽たのしみながら行うお宅たくが多おおいよ
うです。まき終お えたら、鬼を入い れないようにすぐに
戸を閉し めます。このあと、家族で年ねんれい齢の数かずだけ豆を
食べます。厄年の人は一つ多く食べて、早はやく厄年が
終わるように願ねがいます。この豆まきの風ふうしゅう習は室むろまち町時じ
代だいに始はじまりましたが、もとは7世せい紀き ごろに中ちゅうごく国から
伝つたわった鬼はらいの儀ぎ 式しき「追つい儺な 」で、病やまいや災さいがい害など
を鬼に見み 立た てて、桃ももの弓ゆみ、葦あしの矢や で追お い払はらうもので
した。この弓ゆみ矢や が豆に変かわわったのが「豆まき」だと言われています。
<神社での豆まきの風景>
<豆をまく神かんぬし主>
<家庭での豆まきの風景>
13
使いましょう
1 ~というのは~ことです
 ◆節分というのは、立春・立夏・立秋・立冬の前の日のことです。
 ◇立春というのは、                     ことです。
 ◇厄年というのは、人ひとの一いっしょう生のうちで、           年のことです。
2 ~ながら
 ◆大きな声で「鬼は外、福は内」を二回繰り返しながら、豆をまきます。
 ◇         ながら、         ないでください。
 ◇         ながら、         ましょう。
3 ~ように/~ないように[目的]
 ◆鬼を入れないようにすぐに戸を閉めます。/早く厄年が終わるように願います。
 ◇もっと         ように、説せつめい明してください。
 ◇遅ち 刻こくしないように、              方ほうがいいですよ。     
       
節せつぶん分:
立りっしゅん春:
立りっ夏か :
立りっしゅう秋:
立りっとう冬:
旧きゅうれき暦:
最さい後ご :
~に当あ たる:
春はるを迎むかえる:
邪じゃ気き を払はらう:
福ふくを招まねく:
行おこなう:
豆まめまき:
繰く
り返かえす:
豆をまく:
長ちょうなん男:
厄やくどし年:
楽たのしむ:
風ふうしゅう習:
病やまい:
災さいがい害:
鬼おにに見み
立た
てる:
桃ももの弓ゆみ:
葦あしの矢や :
追お
い払はらう:
変か
わる:
新しいことば
14
角つのが生は える:
パーマをかける:
チリチリ:
鋭するどい:
とがる:
牙きば:
突つ
き出で る:
思おもい浮う かべる:
亡な
くなる:
迷まよう:
化ば
ける:
幽ゆうれい霊:
イメージ;
仕し
事ごとの鬼:
思おもい浮う かべる:
過か
労ろう死し :
恨うらむ:
夜な夜な:
現あらわれる:
新しいことば
古こ
代だいの追つい儺な の儀ぎ 式しき(「広こう辞じ 苑えん」より)
日本の鬼おにと中国の鬼
             日本の鬼と言いますと、頭あたまに角つのが二本生は え
            ていて、髪かみはパーマをかけたようにチリチリ、
            下の歯は が鋭するどくとがった牙きばとなって上に突つ き出で
            た恐こわい顔かおを思い浮かべます。
             しかし、中国で「鬼」というのは、亡な くなっ
            た人が、迷まよってこの世よ に化ば けて出で てくる幽ゆうれい霊
のことなので、鬼のイメージが日本と全ぜんぜんちが然違います。ですから、中国の
人が日本語の「仕し 事ごとの鬼」という言こと葉ば を聞き いて思おもい浮う かべるのは、過か 労ろう
死し
か何なにかで死し んで、この世を恨うらんで夜よ な夜よ な現あらわれる幽ゆうれい霊になってしまう
のです。
15
【話しましょう】
1 立春というのは、どんな日のことですか。
2 日本で行われる豆まきというのは、どんな行事ですか。
3 豆をまくとき、どう言いますか。
4 豆まきで、家の中にまいた豆はどうしますか。
5 日本の豆まきは、どんな儀ぎ 式しきがもとになって生まれましたか。
6 あなたの国では、豆まきに似に た行事がありますか。あれば、紹しょうかい介してくだ
  さい。
7 あなたの国に鬼はいますか。どんな姿すがたかたち形をしていますか。
8 あなたの国の鬼は、どのような存在ですか。
9 あなたの国に、鬼が出てくる昔話があれば、紹介してください。
10 あなたの国の「建国記念日」は、何を記念して作られましたか。その日に、
  どのような行事がありますか。
16
ー2月(如きさらぎ月)の暦こよみー
1 建けんこく国記き 念ねん日び ( 2月11 日)
 日本書しょ記き では日本国こくを統とういつ一して初しょだい代の天てんのう皇になったのは神じん武む 天皇とさ
れています。もちろん神武天皇は科か 学がくてきこんきょ的根拠のない神しん話わ 上じょうの人じんぶつ物なので
すが、神武天皇が即そく位い したとされる紀き 元げんぜん前660 年2 月11 日を、日本が
建けんこく国された日として祝いわおうという動うごきが高たかまり、1966 年に国こくみん民の祝しゅくじつ日に
なりました。
2 バレンタインデー (2月14 日)
 2 月14 日は日本では「女じょせい性が男だんせい性にチョコレートをプレゼントする日」
とされています。実じつはその起き 源げんは、メリーチョコレート社しゃがこの日に東
京の「伊い
勢せ
丹たん」でチョコレートを販はんばい売したのがきっかけでした。
鬼が出で てくる民みん話わ 「桃もも太た 郎ろう」
 民みん話わ 「桃太郎」は、桃ももから生う まれた桃太郎がきびだんごをもって鬼おに退たい
治じ
に行い きます。鬼が住す む鬼ヶ島しまに向む かう途と 中ちゅうで、犬いぬ・猿さる・雉きじに会あ いますが、
彼かれらにきびだんごをあげて仲なか間ま にし、協きょうりょく力して鬼を退治するというお話はなし
です。では、その書か き出だ しを載の せておきましょう。
 「むかし、むかし、ある所ところにおじいさんと
おばあさんが住す んでいました。おじいさん
は山やまへしば刈か りに、おばあさんは川かわへ洗せんたく濯
に行きました。すると大きな桃が流ながれてき
ました。喜よろこんだおばあさんはその桃を背せ 中なか
に担かついで帰かえりました。桃を切き ろうとすると、
桃から大きな赤あかん坊ぼうが出てきました。…」
17
【書きましょう】
あなたの国の建国記念日について書いてください。
18
女おんなの子こ の「ひな祭まつり」
              「ひな祭まつり」は、3月3日におひなさま(ひな
             人にんぎょう形)を飾かざって、女の子の幸こうふく福と美うつくしく成せいちょう長する
             ことを願ねがう行ぎょう事じ です。もとは、中ちゅうごく国から伝つたわった
             上じょう巳し の節せっ句く でした。中国では、この日は忌き 日じつとさ
             れる日でしたから、古ふるくは河か 原わらでみそぎをしたり、
             桃ももの花はなを浮う かべた酒さけを飲の んだり、桃の葉は を入い れた
             お風ふ
呂ろ
に入って、無む 病びょうそくさい息災を願いました。そのた
             め、「桃の節句」とも呼よ ばれます。
 昔むかしから中国には、桃の花は長ちょうじゅ寿のシンボルで、魔ま よけの力ちからがあるという言い い
伝つたえがあります。しかし、「桃の節句」は旧きゅうれき暦の3月3日なので、現げんざい在、日本で「ひ
な祭り」が行われる新しんれき暦の3月3日ごろに咲いているのは梅うめ
の花だけで、桃の花はまだ咲さ いていませんね。
 やがて「桃の節句」には、人のけがれや災わざわいなどを人形に
移うつして川かわに流ながし、不ふ 浄じょうを払はらう行事が行われるようになりまし
た。この「流しひな」から「ひな祭り」が
生う
まれたそうです。この「流しひな」の風ふう
習しゅうは、今いまもまだ日本各かく地ち に残のこっています。
 おひなさまは、「ひな祭り」の1~2週しゅう
間かんまえ前に飾ります。飾る前まえの日には桃ももざけ酒やひ
し餅もちなどをお供そなえします。そして家か 族ぞくや仲なか
のいい友ともだちを呼よ んで、ごちそうしてもてなします。昔むかしから、おひなさまをい
つまでも出だ しておくと、婚こん期き が遅おくれると言い われていますが、これは「片かたづけの
できない娘むすめは、いいお嫁よめさんになれないよ」という意い
味み
なのでしょう。
3月の行事とくらし
<おひなさま>
<流しひな>
19
ひな祭まつり:
ひな人にんぎょう形:
幸こうふく福(な):
成せいちょう長する:
願ねがう:
上じょう巳し の節せっ句く :
忌き
日じつ:
河か
原わら:
みそぎ:
無む
病びょうそくさい息災:
長ちょうじゅ寿:
シンボル:
魔ま
よけ:
言い
い伝つたえ:
けがれ:
災わざわい:
移うつす:
不ふ
浄じょうを払はらう:
各かく地ち :
ひし餅もち:
仲なかがいい:
ごちそうする:
もてなす:
婚こん期き が遅おくれる:
片かたづけ:
お嫁よめさん:
新しいことば
使いましょう
1 まだ
 ◆桃の花はまだ咲いていません。/「流しひな」の風習は、今もまだ残っています。
 ◇「もうお昼ひるご飯はんは食べましたか」「いいえ、まだ         。」
 ◇「李さんは、まだお風呂に入っていますか」「はい、まだ         。」
2 ~ようになります
 ◆人のけがれを人形に移して川に流し、不浄を払う行事が行われるようになりました。
 ◇あなたが親おやになれば、ご両りょうしん親の気き
持も
ちも        ようになるでしょう。
 ◇練れんしゅう習すれば、もっと上じょう手ず に              ようになります。
3 ~そうです[伝聞]
 ◆この「流しひな」から「ひな祭り」が生まれたそうです。
 ◇先せんせい生の話はなしによると、                    そうです。
 ◇言い い伝つたえによると、                    そうです。   
         
20
春しゅんぶん分の日ひ  ーお彼ひ 岸がんと墓はかまいりー
              3月21 日ごろを「春分の日」と言い、
              国こく民みんの祝しゅくじつ日となっています。春分の日は
              昼ひると夜よるが同おなじ長ながさになる日ですが、昔の
              人はこの日を春はるの訪おとずれを祝いわう日としてい
              ました。また、この日の前ぜん後ご 三日を「お
              彼岸」と言って、ご先せん祖ぞ への感かんしゃ謝の気持
              ちを伝つたえるために、お墓まいりをする日
本独どく自じ の仏ぶっ教きょう行ぎょう事じ があります。彼岸とは迷まよいのない、悟さとりの世せ 界かいを言う
のですが、彼岸は春分の日と秋しゅうぶん分の日の前後三日、一年に二回あり、春
は三月十八日ごろ、秋あきは九月二十日ごろが彼岸の入い りとなります。
春しゅんぶん分の日ひ :
彼ひ
岸がん:
墓はかまいり:
春はるの訪おとずれ:
先せん祖ぞ :
感かんしゃ謝:
独どく自じ :
仏ぶっきょうぎょう教行事じ :
迷まよい:
悟さとり:
世せ界か


彼ひ
岸がんの入い り:
新しいことば
☜ 仏
ぶつだん
壇のお話
はなし
 日本人の家いえなら、ほとんどどこにで
もあるのが仏壇です。朝あさと晩ばん、お線せんこう香
をたいたり、お水みずや食た べ物ものを供そなえたり
して、ご先せん祖ぞ を供く 養ようします。
21
【話しましょう】
1 ひな祭りというのは、どのような行事ですか。
2 「上巳の節句」は、中国ではどんな日だと考えられていましたか。
3 「上巳の節句」は、どうして「桃の節句」と言われたのですか。
4 「流しひな」というのは、どのような意味を持った行事ですか。
5 どうして、おひなさまをいつまでも出しておいてはいけないのですか。
6 彼岸というのは、本ほんらい来どういう意味の語ですか。
7 あなたの国では、家でご先祖をどのようにしてお祀まつりしていますか。
8 あなたの国では、日本の「お彼岸」のような墓まいりの行事がありますか。
9 その墓参りの行事はいつ行われ、なんと呼よ ばれていますか。
10 その墓まいりの行事の日には、なにか特とくべつ別な食べ物や飲の み物もの、催もよおしなどが
  ありますか。あれば、紹しょうかい介してください。
22
ー3月(弥や 生よい)の暦こよみー
1 ひな祭まつり(3月3日)
2 国こくさい際婦ふ 人じんデー(3月8日)
 1904 年の3 月8日、ニューヨークの女じょせいろうどうしゃ性労働者たちが女性参さんせいけん政権の
運うんどう動を起お こしたのを記き 念ねんして、国際婦人デーが定さだめられました。日本では、
敗はい戦せん後ご に選せんきょほうかいかく挙法改革が行おこなわれ、女性の選せんきょけん挙権が認みとめられました。1946 年
4 月、女性が参さん加か した初はつの衆しゅう議ぎ 院いん選挙では、39 名の女性議ぎ 員いんが生う まれて
います。
3 卒そつぎょうしき業式のシーズン
 日本では、卒業式は3 月に行われるところが多おおく、春の季き
語ご
になって
いるほどです。高こうとうがっこう等学校では上じょうじゅん旬、大だいがく学・短たんだい大では下げ 旬じゅんが多いでしょう。
4 春しゅんぶん分の日ひ (3月21 日ごろ)
知し
っていますか、桃ももの起き 源げん
 『 西さいゆう遊記き 』の中なかで、孫そん悟ご 空くうが天てんかい界・桃とうげんきょう源郷の不ふ 老ろう不ふ
死し
の桃を食べるお話はなし
がありますね。そのころの桃は「毛毛(もも)」と言われ、毛け がいっぱい
生は
えた硬かたい果くだもの物だったことをご存ぞんじでしたか。
 中国で生う まれた桃は、中国からシルクロ
ードで西さいいき域へ伝つたわりますが、中国から西にしへ
行った桃は果か 肉にくが黄き 色いろくなりました。黄おうとう桃
です。古こ 代だいには日本にも桃が伝わるのです
が、現げんざい在のような桃がつくられるようにな
ったのは明めい治じ 時じ 代だいのことで、中国から伝わった品ひんしゅ種から自し 然ぜんこうざつ交雑で偶ぐうぜん然
生う
まれた白しろい桃を発はっけん見し、その後ご 、品ひんしゅかいりょう種改良が重かさねられてきました。で
すから、「白はくとう桃」は日本独どくとく特の桃なのです。
23
【書きましょう】
あなたの国のお墓まいりの行事について書いてください。
24
花はなより団だん子ご
             桜さくらが咲さ く季き 節せつになると、家か 族ぞくや仲なか間ま 、会かいしゃ社の同どうりょう僚
            が桜の木き の下したに集あつままって、お弁べんとう当を広ひろげて、お酒さけを
            飲の んだり、歌うたを歌ったり……こんな光こうけい景が日本の至いた
            る所ところで繰く り広げられます。これが日本の伝でんとう統行ぎょう事じ「お
            花はな見み 」なのです。たぶんこんな風ふうしゅう習は、日本でしか
            見み られないのではないでしょうか。
             花見が盛さかんに行おこなわれるようになったのは、江え
戸ど
時じ
            代だいの元げんろく禄のころからだと言い われています。花見には
            金かね持も ちも貧びんぼうにん乏人もありません。それぞれが集しゅうだん団を作つく
り弁当を持も って出で かけ、飲んで食って大おおさわ騒ぎをします。それは、普ふ 段だんは士し
農のうこうしょう工商という厳きびしい身み 分ぶんせい制度ど の中なかで生せいかつ活して
いる庶しょみん民にとって、羽はねを伸の ばしてリフレッシ
ュする絶ぜっこう好の機き 会かいであったようです。それは
今いまも変か わりません。花見のときは上じょう司し も部ぶ
下かも
無ぶ
礼れいこう講で飲んで騒さわぐのですが、ときには裸はだか
になって踊おどり出だ す人が現あらわれたり、酒さけの勢いきおいで
けんかが始はじまったりと大たいへん変な騒そうどう動になること
もあります。「花見」で見るものはもちろん桜です。夜よるに花見をすることは夜よ
桜ざくらけんぶつ見物と言います。しかし、庶民にとっては、桜よりも飲み食い騒ぐことの方
            が楽たのしみなのです。これを「花より団だん子ご 」と言います。
             もしあなたが、日本人が花見を楽しんでいる光景
            を見たら、あなたの日本人観かんが変か わるかもしれませ
            ん。
4月の行事とくらし
<飲んで騒いで>
<花見団子>
25
仲なか間ま :
同どうりょう僚:
光こうけい景:
至いたる所ところ:
繰く
り広ひろげる:
伝でんとう統:
~のではないでしょうか:
盛さかん(な):
金かね持も ち:
貧びんぼうにん乏人:
それぞれ:
普ふ
段だん:
士し
農のうこうしょう工商:
身み
分ぶんせい制度ど :
庶しょみん民:
~にとって:
羽はねを伸の ばす:
リフレッシュする:
絶ぜっこう好の機き 会かい:
無ぶ
礼れいこう講:
裸はだか:
酒さけの勢いきおい:
けんか:
騒そうどう動:
夜よ
桜ざくらけんぶつ見物:
花はなより団だん子ご :
新しいことば
使いましょう
1 ~のではないでしょうか
 ◆たぶんこんな風習は、日本でしか見られないのではないでしょうか。
 ◇会社の業ぎょうせき績も伸の びていますから、給料も      のではないでしょうか。
 ◇空そらが暗くらくなってきたから、もしかして          んじゃないか。
2 ~にとって
 ◆それは庶民にとって、羽を伸ばしてリフレッシュする絶好の機会であったようだ。
 ◇私たちにとって、一番大切なのは               。
 ◇それは    にとって、初めての経験だった。
3 ~ようです(感覚推量)
 ◆庶民が羽をのばして、リフレッシュする絶好の機会であったようです。
 ◇寒さむ気け がします。どうも               ようです。
 ◇この靴くつ、少すこしサイズが     ようなので、     のに換か えてください。
           
26
梅うめと桜さくらのお話はなし
 日本に梅うめがもたらされたのは、奈な
良ら
時じ
代だい、遣けん
唐とう使し が薬やくよう用として持も ち帰かえったのが最さいしょ初のようで
す。この時代、花といえば梅を指さ しました。当とう
時じ
、梅は中国の文ぶんじん人たちに大たいへんあい変愛されていた花
でしたから、中国文ぶん化か を理り 想そうとしていた当時の日本人にとって、梅こそ
花の代だいめい名詞し でした。しかし平へいあん安時代に入り、「かな」が作つくられ、遣唐使が
廃はい止し されると、しだいに国こくふう風文化と言われる独どく自じ の文化が形けいせい成されてい
きます。それにつれて、梅よりも昔むかしから日本の山さん野や に原げんせい生していた桜が
尊とうとばれるようになり、やがて梅は桜と交こうたい代しました。このように桜が国こっ
花か
とされるようになったのは、国風文化の発はってん展と密みっせつ接な関かんけい係があったの
新しいことば
もたらす:
遣けんとう唐使し :
薬やくよう用:
~として:
代だいめい名詞し :
廃はい止し する:
しだいに:
国こくふうぶん風文化か :
独どく自じ :
形けいせい成する:
~ていく:
~につれて:
原げんせい生する:
尊とうとぶ:
国こっ花か :
             
やがて:
交こうたい代する:
密みっせつ接(な):
27
【話しましょう】
1 日本人は、花見に行ってどんなことをしますか。
2 日本で花見が盛さかんになったのは、いつごろからですか。
3 花見というのは、庶しょみん民にとってどのようなものなのですか。
4 「花より団子」というのは、どういう意い
味み
ですか。
5 遣唐使が廃止されてから、日本で発展した独自の文化をなんと呼よ びますか。
6 日本では、どうして梅よりも桜の方が尊ばれるようになりましたか。
7 あなたの国では、日本のようなお花見の風ふうしゅう習がありますか。
8 あなたの国の国花はなんですか。どうしてその花が国花となったのですか。
9 あなたの生まれた故ふるさと郷で、春を代表するのはどんな花ですか。
10 あなたの国には、花と関係が深いお祭まつりがありますか。あれば、紹しょうかい介して
  ください。
28
ー4月(卯う 月づき)の暦こよみー
1 エイプリルフール (4月1日)
 4月1日は、エイプリルフールの日とされ、この日に嘘うそをついて、人
を驚おどろかせても許ゆるされることになっています。
2 花はなまつり(4月8日)
 4月8日は、お釈しゃ迦か さま生せいたん誕の日です。今から 2500 年前、ヒマラヤ
のふもと、カピラ国こくの太たい子し として、ルンビニーの花はなぞの園でお生う まれになリ
ました。
 お釈迦さまがご誕たんじょう生のとき、あたりに
花が一いっせい斉に咲き、音おんがく楽が流ながれ、甘あまい雨あめが
降ふ
ってきたと言われます。そこで、今で
もお寺てらでは花はな御み 堂どうを花で飾かざリ、天てん地ち を指ゆび
さした誕生のお姿すがたを安あん置ち して、甘あまちゃ茶をか
けてお祝いわいする「花まつり」が行おこなわれます。
3 入にゅうがくしき学式のシーズン
           欧おうべい米では一いっぱん般に9 月に入学式がありますが、日
          本では入学式は桜が咲く春の恒こうれい例行ぎょう事じ です。学がくしゅう習
          指し 導どう要よう領りょうで「国こっ旗き を掲けいよう揚するとともに、国こっ歌か を斉
          唱するよう指し 導どうする」と定さだめたため、教き ょういく育 現げん場ば で
          は様さまざま々な問もんだい題が発はっせい生しています。
4 みどりの日(4月29 日)
 元もとは昭しょう和わ 天てんのう皇の「天皇誕たんじょう生日び 」でしたが、現げんざい在は国こくみん民の祝しゅくじつ日「みどりの日」
に改かいめい名され, 「自し 然ぜんに親したしむとともにその恩おんけい恵に感かんしゃ謝し、豊ゆたかな心こころを育はぐくむ日」
となりました。
      
29
【書きましょう】
「故郷の春」をテーマに作文を書いてください。
30
「こどもの日ひ 」とゴールデンウイーク
              ゴールデンウィークとは、4 月がつすえ末から5 月初はじめ
             にかけて、多おおくの祝しゅくじつ日が重かさなった大おおがた型連れんきゅう休のこと
             を言い います。ゴールデン・ウィークには国こくみん民の祝
             日である「みどりの日(4/29)」「憲けんぽう法記き 念ねん日び (5/3)」
             「国民の休きゅうじつ日(5/4)」「こどもの日(5/5)」が含ふくま
             れます。これらの祝日と土ど 日にちがうまくつながると、
             1いっしゅうかん週間間かんほどの大型連休が発はっせい生します。
 このゴールデンウィークの過す ごし方かたは人ひとによって色々ですが、子こ どもがいる
家か
庭ていでは家か 族ぞく旅りょこう行に行い くことが多おおいようです。この期き 間かん、日本の行こうらく楽地ち は子ど
も連づ れの家族で溢あふれます。調ちょう査さ では、2006 年ねんの海かいがいりょこうしゃ外旅行者は過か 去こ 最さいこう高の56
万まん人にん、国こくないりょこうぐみ内旅行組が2000 万人以い 上じょうでしたから、ちょっとした民みんぞくだい族大移い 動どうです。
 さて、ゴールデンウイークの最さいしゅう終日び にあたる5 月5いつか日は「こどもの日」です。
古ふるくは、「端たん午ご の節せっ句く 」といって、男おとこの子こ が強つよくたくましく育そだつことを祝いわう日
            でしたが、1948 年に定さだめられた国民の祝日法ほうによっ
            て、男だんじょ女の別べつなく、こどもの健けんぜん全な発はったつ達を願ねがう祝日
            となりました。しかし、もともと「端午の節句」の
            日だったので、菖しょう蒲ぶ
湯ゆ
に入はいったり、柏かしわもち餅を食べたり、
            男の子のいる家いえでは「兜かぶと」 や「こいのぼり」「五月 
            人にんぎょう形」を飾かざったりします。
             この「こいのぼり」は、
中国の昔むかしばなし話、急きゅう流りゅうだった黄こう河が の竜りゅうもん門を昇のぼりきったのが
鯉こいだけだったという「鯉の滝たきのぼ登り」の話が元もとになって
いるようです。ここから、「登とうりゅうもん竜門」という言こと葉ば も生う
まれました。
5月の行事とくらし
<こいのぼり>
<柏餅>
<菖蒲で縛った紙兜>
31
ゴールデンウイーク:
~から~にかけて:
重かさなる:
大おおがたれんきゅう型連休:
憲けんぽう法記き 念ねん日び¥:
含ふくむ:
うまい:
つながる:
~によって:
過す
ごし方かた:
行こうらく楽地ち :
子こ
ども連づ れ:
溢あふれる:
過か
去こ
最さいこう高:
ちょっとした:
民みんぞくだい族大移い 動どう:
端たん午ご の節せっ句く :
たくましい:
~の別べつなく:
健けんぜん全な発はったつ達:
菖しょう蒲ぶ
湯ゆ

柏かしわもち¥餅:
兜かぶと:
急きゅうりゅう流:
~きる:
鯉こいの滝たきのぼ登り:
~が元もとになる:
登とうりゅうもん竜門:
新しいことば
使いましょう
1 ~から~にかけて
 ◆ゴールデンウィークとは、4 月末から5 月初めにかけての大型連休のことを言う。
 ◇ 昨さく夜や は、     から     にかけて、何なん度ど か強つよい地じ 震しんがありました。
 ◇ 日本では      から      にかけて、梅つ
雨ゆ
のシーズンです。
2 ~によって[対応]
 ◆ゴールデンウィークの過ごし方は人によっていろいろです。
 ◇時じ 間かんによって、忙いそがしいときもあるし、       もある。
 ◇     によって     も違ちがうから、「郷ごうに入い れば郷に従したがえ」だよ。
3 ~によって[基準・根拠]
 ◆祝日法によって、男女の別なく、こどもの健全な発達を願う祝日となった。
 ◇学がくせい生の      によって、クラスを三つに分けることにしました。
 ◇未み 成せいねんしゃ年者の飲いんしゅ酒は、      によって禁きん止し されている。         
   
32
「母ははの日ひ 」とカーネーションのお話はな
           1907 年ねん、米べいこく国のアンナ・ジャービスが亡な き母はは
          の追つい悼とう会かいで、母ははおや親の好す きだったカーネーションを
          参さんれつしゃ列者たちに配くばりました。これが米国全ぜん土ど へ広ひろが
          り、1914 年には米べい議ぎ 会かいで5 月の第2 日にちよう曜を「母
の日」と定さだめました。
 日本では、教きょうかい会の働きかけなどもあり、1949 年ごろから「母の日」が
年ねん中じゅう行ぎょう事じ として、一いっぱん般に定ていちゃく着しました。現げんざい在でも、子こ どもが母親にカーネー
ションを贈おくったり、日ごろの感かんしゃ謝を示しめす日として受う け継つ がれています。
 カーネーションの花はな言こと葉ば は、母の愛あいじょう情、清きよらかな愛などで、母ぼ 性せいあい愛を
表あらわします。赤あかいカーネーションは「健けんざい在する母の愛情」、白いカーネーショ
ンは「亡き母から受う けた愛情」を表しています。
新しいことば
追ついとうかい悼会:
カーネーション:
参さんれつしゃ列者:
配くばる:
教きょうかい会:
働はたらきかけ:
一いっぱん般に:
定ていちゃく着する:
感かんしゃ謝を示しめす:
受う
け継つ ぐ:
花はなこと言葉ば :
清きよらか(な):
母ぼ
性せいあい愛:
健けんざい在する:
☜ 菖
しょう
蒲ぶ
湯ゆ
 端たん午ご の節せっ句く は厄やく除よ けの行ぎょう事じ が行おこなわれる日で、中国で
は災さいやく厄を払はらう薬やくそう草として菖蒲を使つかっていたので、「菖
蒲の節句」とも呼よ ばれます。現在の日本ではお風ふ
呂ろ

入い
れて菖蒲湯にする風ふうしゅう習が最もっとも身み 近ぢかなようです。
33
【話しましょう】
1 ゴールデンウイークというのは、なんですか。
2 五月五日は「こどもの日」ですが、何年に定められましたか。
3 五月五日は、昔、なんと呼ばれていましたか。それはどんな日でしたか。
4 「こどもの日」には、どんなものを飾り、どんなものを食べますか。
5 「こいのぼり」は、どんな話が元になって生まれましたか。
6 あなたの国には、日本の「こどもの日」のような行事がありますか。
7 あなたの国では、その日(「こどもの日」)は、なんと呼ばれていますか。
8 あなたの国では、その日(「こどもの日」)に、特とくべつ別な物を飾ったり、食べ
  たりしますか。
9 あなたの国には「母の日」がありますか。あれば、その日にどんなことを
  するか、紹しょうかい介してください。
10 母の日に、亡な くなったお母さんのお墓はかに供そなえるのはどんな花ですか。それ
  はどうしてですか。
34
ー5月〔皐さ 月つき)の暦こよみー
1 メーデー(5月1日)
 国こくさいろうどうしゃさい際労働者祭。労ろうどうくみあい働組合を中ちゅうしん心に集しゅうかい会や
デモ行こうしん進が行おこなわれます。
2 憲けんぽう法記き 念ねん日び (5月3日)
 1947 年5 月3 日、日に 本ほんこくけんぽう国憲法が発はっ布ぷ さ
れました。それを記き 念ねんしてこの日が国民の祝日と定さだめられました。以い 来らい、
50 年にわたってこの憲法は全まったく改かい正せいを加くわえられることなく継けいぞく続し、天てんのう皇
象しょうちょうせい徴制・三さんけんぶんりつ権分立・民みんしゅしゅ主主義ぎ ・人じん権けん尊そんちょう重・平へい和わ 主しゅ義ぎ などをうたっています。
 憲法に関かんしてよく議ぎ 論ろんされるのが、第だいきゅうじょう九条の問もんだい題です。
 第九条 日本国民は、正せい義ぎ と秩ちつじょ序を基き 調ちょうとする国こくさいへい際平和わ を誠せいじつ実に希き 求きゅう
     し、国こっけん権の発はつどう動たる戦せんそう争と、武ぶ 力りょくによる威い 嚇かくまたは武ぶ 力りょくの行こう
     使し は、国際紛ふんそう争を解かいけつ決する手しゅだん段としては、永えいきゅう久にこれを放ほう棄き
     する。
   (2) 前ぜんこう項の目もくてき的を達たっするため、陸りくかいくうぐん海空軍その他た の戦せんりょく力は、これを
     保ほ
持じ
しない。国くにの交こうせんけん戦権は、これを認みとめない。
 この第九条を改かいせい正するかどうかが、日本の国こくせいじょう政上、最さいだい大の焦しょうてん点になっ
ていて、憲法記念日には、護ご 憲けん派は と改かいけん憲派は がそれぞれ集しゅうかい会を開ひらき、激はげし
くぶつかっています。
3 こどもの日(5月5日)
4 国こくみん民の休きゅうじつ日(5月4日)
「 国民の休日」は、働
はたら
きすぎの現
げんだいじん
代人に休日を増

やそうということで定め
られました。
5 母の日(5月第2日曜日)
35
【書きましょう】
 「私の母 」をテーマに作文を書いてください。
36
露ろ
天てん風ぶ
呂ろ
の日ひ と混こんよく浴の伝でんとう統
               6 月26 日は露天風呂の日です。大おおきな温おんせん泉
              地ち に行い けば、ほとんど露天風呂がありますが、
              広ひろい屋おくがい外で風呂に入るのも開かいほうてき放的で、気き 分ぶんが変か
              わってよいものです。混浴のところも各かく地ち に残のこ
              っていますが、混こんよく浴の露天風呂では女じょせいきゃく性客の方ほう
が元げん気き がよく、男だんせいきゃく性客は恥は ずかしそうに下したを向む いているケースが多おおいようです。
 日本には「入いり込こ み湯ゆ 」と言い って、古ふるくから混こんよく浴
の風ふうしゅう習がありました。奈な
良ら
時じ
代だいの「風ふう土ど
記き
」にも、
こんこんと涌わ き出で る温泉に、老ろうにゃくなんにょ若男女の区く 別べつなく、
みんなが喜よろこんで入はいったと書か いてあります。
江え
戸ど
時代の中ちゅう期き にはたびたび混浴禁きん止し 令れいが出だ さ
れ、やがて男だんじょべつ女別の銭せんとう湯が生う まれるのですが、地ち
方ほうの温泉地では男女がいっしょに温泉につかり、お互たがいの背せ 中なかを流ながし合あ うのは
当あ
たり前まえのことでした。今いまでも混浴の露天風呂はたくさんありますが、入いりぐち口は
男女別でも、中なかに入はいると混浴浴よくじょう場というところも多いですから、混浴が嫌いやな人ひと
は、事じ 前ぜんによく調しらべておきましょう。
 さて、外がいこく国の皆みなさんにもう一つ気き をつけてもらいたいことがあります。日本
でお風呂というと湯ゆ
風ぶ
呂ろ
で、ゆっくり湯につかるのが習しゅうかん慣です。よく外国の人
がホームステイすると、お風呂が終お わった後あと、湯を抜ぬ いてしまうそうです。し
かし日本では、お風呂に入る前まえに体からだを洗あらいます。
湯風呂にはつかるだけで、浴よくそう槽の中で体を洗い
ませんから、お湯は汚よごれないのです。これは日
本での入にゅうよく浴のマナーなので、覚おぼえておいてく
ださい。「郷ごうに入い れば郷に従したがえ」ですよ。
6月の行事とくらし
<家庭の湯風呂>
<河原の露天風呂>
37
新しいことば
露ろ
天てん風ぶ
呂ろ

温おんせん泉地ち :
屋おくがい外:
開かいほうてき放的(な):
気分ぶんが変か わる:
混こんよく浴:
ケース:
こんこんと:
湧わ
き出で る:
老ろうにゃくなんにょ若男女:
~てある:
たびたび:
禁きん止し 令れい:
銭せんとう湯:
つかる:
お互たがいに:
背せ
中なか:
当あ
たり前まえ:
事じ
前ぜんに:
気き
をつける:
湯ゆ
風ぶ
呂ろ

ホームステイ:
抜ぬ
く:
浴よくそう槽:
入にゅうよく浴のマナー:
郷ごうに入い れば郷ごうに従したがえ:
使いましょう
1 ~そうだ[様態]
 ◆男性客は恥ずかしそうに下を向いているケースが多いようです。
 ◇      そうなケーキ、買か っていこうよ。
 ◇       そうに見み えるけれど、実じっさい際にやるのは難むずかしいよ。
2 ~てある
 ◆……温泉に、老ろうにゃくなんにょ若男女の区く 別べつなく、みんなが喜よろこんで入はいったと書いてあります。
 ◇玄げんかん関のドアに「猛もうけん犬に注ちゅう意い 」という札ふだが       てあった。
 ◇「もう夕ゆうご飯はんの準じゅん備び は終お わりましたか」「はい、もう     あります。」
3 ~ておく[準備]
 ◆混浴が嫌な人は、事前によく調べておきましょう。
 ◇       ておいたお菓か
子し
を、弟おとうとに食た べられてしまった。
 ◇      を冷れいぞう蔵庫こ に入い れて、       ておきましょう。
38
衣ころも替が えと入にゅうばい梅
衣ころも替が えは季き 節せつに応おうじて衣い 服ふくを着き
替が
えること
を言い います。季節の変へん化か がはっきりしている
日本特とくゆう有の習しゅうかん慣です。現げんざい在では、気き 候こうに合あ わ
せて何なにを着ても自じ 由ゆうという風ふうちょう潮になっていま
すが、和わ 服ふくでは今いまもこの習慣が厳げんかく格に守まもられていて、6月1日からは
「単ひとえ」(夏なつもの物)、10 月1日からは「袷あわせ」(冬ふゆもの物)と決き められています。
梅つ
雨ゆ
の季節に入はいることを入にゅうばい梅といいますが、これ以い
後ご
約やく一ヶ月げつかん間ほど
雨あめが続つづき、うっとうしい期き 間かんになります。 「梅雨」という言こと葉ば は、ちょう
ど梅うめの実み が熟じゅくすころに雨が降ふ ることからつけられたと言い われています。
衣ころも替が え:
~に応おうじて:
衣い
服ふく:
着き
替が
える:
特とくゆう有:
気き
候こう:
~に合あ わせる:
風ふうちょう潮:
新しいことば
和わ
服ふく:
厳げんかく格(な):
梅つ
雨ゆ

入にゅうばい梅:
うっとうしい:
実みが
熟じ




~ことから:
☜ 衣
ころも
替が

江え
戸ど
時じ
代だいの武ぶ
家け
社しゃかい会では年ねん4 回かいも衣替えを
していたそうです。衣替えが6 月1 日と
10 月1 日になったのは明めい治じ
以い
降こうで、学がっこう校
や官かんこう公庁ちょう、銀ぎんこう行など制せいふく服を着ちゃくよう用するところ
では、現げん在ざい¥もほとんどこの日に行おこなわれてい
   
39
【話しましょう】
1 露天風呂というのは、どのような風呂のことですか。
2 露天風呂はどのような点がいいのですか。
3 混浴というのは、どういう意味ですか。
4 混浴の風習は、昔はなんと呼ばれていましたか。
5 江戸時代になって、混浴の風習はなくなりましたか。
6 日本の湯風呂に入るとき、気をつけなければならないことはなんですか。
7 あなたの国には混浴の風習がありますか。
8 あなたは日本に残る混浴の習慣をどう思いますか。
9 あなたの国には、衣替えの風習がありますか。あれば、話してください。
10 あなたの国には梅雨がありますか。あれば、いつごろからいつごろまでで
  すか、話してください。
40
ー6月〔水み
無な
月づき)の暦こよみー
1 環かんきょう境の日ひ (6月5日)
 6月5日は「環かんきょう境の日」です。1972 年6
月5 日、第一回の地ち 球きゅうサミット「国こくれんにんげん連人間環
境会かい議ぎ 」が開ひらかれたのを記き 念ねんして「世せ 界かい環境
デー」が制せいてい定されました。日本でも翌よくねん年から
この日を「環境の日」と定さだめ、各かく地ち の環境保ほ
護ご
団だんたい体が、クリーンアップ作さくせん戦などの運うんどう動を
この日を中ちゅうしん心に展てんかい開しています。
2 海かいがい外移い 住じゅうの日ひ (6月18 日)
               1908 年(
明めい治じ 41 年)6 月18 日、日
              本から
初はつの集しゅうだん団移い 住じゅうしゃ者781 名めいを乗の せた笠かさ
              
戸ど 丸まるがブラジルのサントス港こうに到とうちゃく着しま
              した。この
後あと、中ちゅうなんべい南米や北ほくべい米への移民が
              相あい次つ ぎますが、入にゅうしょく植した人たちは厳きびしく
辛つらい生せいかつ活を送おくりながら、これらの国くにぐに々で日にっけいじんしゃかい系人社会を築きずきました。ペルー
のフジモリ前ぜんだいとうりょう大統領のことは有ゆうめい名です。
3 父ちちの日(6月第だい3日にちよう曜日び )
 日ごろ一いっしょうけんめい生懸命働はたらいている父ちちおや親に感かんしゃ謝する日として、6 月の第3 日曜
日が、「父の日」として制せいてい定されました。米べいこく国の家か 庭ていでは白しろいバラを贈おくり
ますが、日本では「愛あいする人の無ぶ
事じ
を願ねがう」という気き
持も
ちを込こ めて、父
の日には「黄き 色いろいリボン」を贈おくることもあります。
4 露ろ 天てん風ぶ 呂ろ の日(6月26 日) 
41
【書きましょう】
あなたの国に、今も残っている昔からの風習について書いてください。
42
天あまの川かわでんせつ伝説と「七たなばた夕まつり」
                    七たなばた夕といえば、牽けんぎゅう牛と織おりひめ女が、年ねん
                   に一いち度ど だけ天あまの川かわを渡わたって会あ うこと
                   ができるという、悲かなしくロマンあふ
                   れる恋こいの物ものがたり語を思おもい出だ しますね。
                    この伝でんせつ説が中ちゅうごく国から日本に伝つたわっ
                   たのは、奈な
良ら
時じ
代だいだそうです。この
牽けんぎゅうせい牛星と織おりひめせい女星の伝説と、日本古こ 来らいの棚機津女〔たなばたなつめ〕の信しんこう仰が混ま
ざり合あ って、星ほしに技ぎ 芸げいの上じょうたつ達やお米こめの豊ほうさく作を祈いのる宮きゅうちゅうぎょう中行事じ が生う まれました。そ
れで7 月7 日が「たなばた」と呼よ ばれているのです。
江え
戸ど
時代になると、七夕の行事は民みんかん間にも広ひろがりました。笹ささだけ竹に願ねがいごとを
           書か いた短たんざく冊を飾かざるスタイルもこのころ定ていちゃく着したようで
           す。この短冊を飾るのは6 日の夜よるで、7 日には七夕飾
           りを海うみや川かわへ流ながします。しかし、現げんざい在は環かんきょう境汚お 染せんもんだい問題
           から川や海に流せなくなったため、神じんじゃ社で燃も やして 
           もらうのが一いっぱんてき般的なようです。全ぜんこくかく国各地ち で七夕まつり
が行おこなわれていますが、中なかでも仙せんだい台と平ひらつか塚の七夕
まつりが有ゆうめい名です。街まちは和わ
紙し
と竹たけでつくられた
豪ごう華か な七夕飾りで埋う め尽つ くされます。
 さて、もともと日本では旧きゅうれき暦の七夕でお祝いわい
をしていたのですが、明めい治じ に太たいようれき陽暦へ移い 行こうして
からは、しだいに新しんれき暦で行われるようになりま
した。ところが新暦の7月7日は梅つ
雨ゆ
の真ま っ最さいちゅう中なのです。もしその晩ばんに雨あめが
降ふ
って川を渡ることができないと、牽牛と織女はその年としはもう会えません。で
すから、七夕の晩は雨が降らないようにお祈りしましょうね。
7月の行事とくらし
<七夕まつり>
43
七たなばた夕:
~といえば:
牽けんぎゅう牛:
織おりひめ姫:
天あまの川かわ:
ロマンあふれる:
恋こいの物ものがたり語:
思おもい出だ す:
伝でんせつ説:
信しんこう仰:
混ま
ざり合あ う:
技ぎ
芸げい:
上じょうたつ達:
豊ほうさく作:
笹ささだけ竹:
短たんざく冊:
スタイル:
定ていちゃく着する:
環かんきょう境汚お 染せん:
中なかでも:
和わ
紙し

豪ごう華か (な):
埋う
め尽つ くす:
移い
行こうする:
ところが:
梅つ
雨ゆ

真ま
っ最さ 中なか:
新しいことば
使いましょう
1 ~といえば
 ◆七夕といえば、牽牛と織女が年に一度だけ……という物語を思い出します。
 ◇      といえば、もう何なんねん年も会っていないなぁ。
 ◇ 子こ どものころといえば、               を思い出します。
2 ~てもらう
 ◆七夕飾りを海や川へ流して、神さまに持ち去ってもらいます。
 ◇私は孫そんさんに       まで、車くるまで        もらいました。
 ◇高たかいですね。もう少し       てもらえませんか。
3 ~ため(に)[原因・理由]
 ◆川や海に流せなくなったため、神社で燃やしてもらうのが一般的なようです。
 ◇ご迷めいわく惑をおかけしています。ただ今、      ため、電でんしゃ車が遅おくれております。
 ◇            ために、試し 験けんが受う けられませんでした。      
    
44
お中ちゅうげん元の起き 源げん
 お中元というと、7月のはじめから15 日くらい
までに、日ひ ごろお世せ
話わ
になっている親しんせき戚や上じょう司し に、
品しなもの物を贈おくる日本の習しゅうかん慣ですが、もとは日ひ 付づけを表あらわす
ことばで、その起源は中国にあります。お中元の
「中元」は旧暦の7 月15 日で、道どうきょう教の習しゅうぞく俗「三さんげん元
(上じょうげん元・中元・下か 元げん)」の一つです。道教ではこの日を贖しょくざい罪の日として、
神かみに食たべもの物を供そなえてお祀まつりし、人ひとびと々をもてなす習慣がありました。これが
日本に伝つたわり、お盆ぼんと結むすびついたのが中元で、お盆に一いちぞく族が先せん祖ぞ の霊れいに
捧ささげる品しなを持も ち寄よ ったのが始はじまりだと言われています。
お中ちゅうげん元:
日ひ
ごろ:
親しんせき戚:
上じょう司し ;
日ひ
付づけ:
起き
源げん:
道どうきょう教:
習しゅうぞく俗:
贖しょくざい罪:
お盆ぼん:
結むすびつく:
霊れいに捧ささげる:
持も
ち寄よ る:
新しいことば
<七夕のときの夜よ 空ぞら>
45
【話しましょう】
1 七夕に関係が深い物語はなんですか。
2 どうして7月7日が「たなばた」と呼ばれるようになりましたか。
3 七夕の行事が広く民間に広まったのはいつですか。
4 竹笹に飾る短冊には何を書きますか。
5 どうして最近、七夕飾りが海や川に流せなくなりましたか。
6 日本では新暦で七夕のお祭りが行われますが、新暦の7月7日はどんな季
  節ですか。
7 お中元というのは何のことですか。
8 あなたの国に牽牛と織姫のお話があれば、どんな話か紹しょうかい介してください。
9 あなたの国には、日本の七夕のようなお祭りがありますか。あれば、いつ
  行われる、どんなお祭りか話してください。
10 あなたの国にはお中元のような贈り物をする習慣がありますか。あれば、
  紹しょうかい介してください。
46
ー7月〔文ふみづき月)の暦こよみー
1 七たなばた夕(7月7日)
2 土ど 用ようの鰻うなぎ
           土用とは、立りっしゅん春・立りっ夏か ・立りっしゅう秋・立りっとう冬の前まえ18 日にちかん間
          を
言い いますが、今いまでは立秋の前だけを土用と呼ん
          でいます。ちょうど
大たいしょ暑の少し前から終お わりまで
          の「
暑しょ中ちゅう」にあたります。土用の入い りは、だいた
          い7月の20 日ごろになります。日本には土用の
丑うし
の日は「う」のつくものを食た べる習しゅうかん慣があります。うどん・梅うめぼし干・うり・
鰻うなぎなどさまざまですが、夏なつの疲ひ 労ろうをとり、夏なつ痩や せを防ふせぐというのが目もくてき的
のようです。特とくに「土用の鰻」と言って、鰻を食べるのが一いっしゅ種の夏の行ぎょう
事じ
になっています。
3 海うみの日(7月第だい3月げつよう曜日び )
 7 月の第3 月曜日は、「海の日」です。もとは「海の記き 念ねん日び 」と呼よ ばれ
ていましたが、 その後ご 、1996 年ねんに「みんなで海のことを考かんがえ、海に親したし
み、海を大たいせつ切にしましょう」という趣しゅ旨し に立た って、国こくみん民の祝しゅくじつ日「海の日」
となりました。
  日本は周まわりを海で囲かこまれた海かいようこく洋国
で、海との関かかわりはとても深ふかいです。
古こ
来らい、文ぶん化か は中国・朝ちょうせん鮮から海を渡わた
ってもたらされましたし、今も日本
と外がいこく国との間あいだで行われる貿ぼうえき易の99.8
%が海かいじょう上輸ゆ 送そうに支ささえられています。 また海は、魚さかなや貝かいや昆こん布ぶ など、豊ゆたかな
水すいさんぶつ産物を提ていきょう供してくれています。ところが、普ふ 段だん日本人この海の恵めぐみを
忘わすれているようです。そこで、この「海の日」が制せいてい定されました。
<朝鮮と日本を結んだ古代船(復元)>
47
【書きましょう】
あなたの国のお正月について書いてください。
48
夏なつの風ふうぶつ物詩し 、盆ぼんおど踊りと花はな火び 大たいかい会
 お盆ぼんは旧きゅうれき暦の7 月15 日を中ちゅうしん心に行われる先せん祖ぞ
供く
養ようの儀ぎ 式しきで、先祖の霊れいがあ
の世よ からこの世に戻もどってくるという日本古こ 来らいの信しんこう仰と、仏ぶっきょう教が結むすびついてでき
た行ぎょう事じ です。明めい治じ
以い
後ご
に多おおくの行事が新しんれき暦(太たいようれき陽暦)に移い 行こうしましたが、お盆
の行事だけは、今いまでも8月の同おなじ期き 間かんに行おこなう地ち 方ほうが多いようです。だいたい8
月13 日の「迎むかえ盆」から16 日の「送おくり盆」までの4よっか日間かんをお盆としています。
            お盆の
間あいだに、人ひとびと々はお墓はかまいりをして、お墓の掃そう除じ
           をします。
自じ 宅たくの仏ぶつだん壇もきれいに掃除して、花はなや季き 節せつ
           の
野や 菜さいを供そなえます。そして盆の終お わりには、送り火び を
           してご先祖さまをあの世へ送り出す行事、
灯とうろう籠流なががあ
           ります。
京きょう都と の有ゆうめい名な「大だいもん文字じ
焼や
き」(正せいしきめい式名:五ご 山ざん
           の送り火)は、これが
大だい規き
模ぼ
になったものです。日本
人にとって、先祖供養のための、一年で一いちばん番大たいせつ切な日と言い えるでしょう。 
 さて、お盆の期間に寺てら
の境けいだい内や町まちの広ひろ場ば などで
は盆ぼんおど踊りが行われます。
村むらや町ちょうないかい内会の恒こうれい例行事と
なっていますから、日本
人なら誰だれでも心こころに残のこる夏なつ
祭まつりや盆踊りの思おもい出で があることでしょう。今でこそ、盆踊りというと、人々
が櫓やぐらを囲かこんで太たい鼓こ を打ち、ゆかたを着き て踊って楽たのし
む遊あそびのイメージしかありませんが、もともとはお
盆に戻った霊を慰なぐさめて、送り出すための儀式だった
のです。このお盆、盆踊りと切き り離はなせないのが、夏
の風物詩、花はな火び 大たいかい会でしょうね。
8月の行事とくらし
<高知の阿波踊り>
<灯籠流し>
49
お盆ぼん:
~を中ちゅうしん心に:
あの世よ :
この世よ :
先せん祖ぞ
供く
養よう:
儀ぎ
式しき:
信しんこう仰:
だいたい:
~を~とする:
仏ぶつだん壇:
送おくり火び :
灯とうろうなが籠流し:
大だい規き
模ぼ
(な):
さて:
境けいだい内:
盆ぼんおど踊り:
恒こうれいぎょう例行事じ :
思おもい出で :
~こそ:
櫓やぐらを囲かこむ:
太たい鼓こ を打う つ:
ゆかた:
イメージ:
慰なぐさめる:
風ふうぶつ物詩し :
花はな火び 大たいかい会:
新しいことば
使いましょう
1 ~を~とする
 ◆ 8 月13 日の「迎え盆」から16 日の「送り盆」までの4 日間をお盆としています。
 ◇この会かいは       を目もくてき的としてつくられたボランティア団だんたい体です。
 ◇警けいさつ察はその男おとこを         として、全ぜんこく¥国に指し 名めい手て 配はいした。
2 ~ため(に/の)[目的]
 ◆先祖供養のための……/お盆に戻った霊を慰めて、送り出すための儀式 
 ◇         ために、みんなで歓かんげいかい迎会を開ひらいた。
 ◇人ひとは食た べるために     のではなく、生い きるために     のです。
3 ~こそ
 ◆今でこそ、盆踊りというと、人々が櫓を囲んで太鼓を打ち、……
 ◇「主しゅじん人がいろいろお世せ
話わ
になっております。」「いいえ、     こそ。」
 ◇今こ 年としはだめだったが、     こそは合ごうかく格するぞ。          
50
暑しょちゅう中見み
舞ま
い:
大たいしょ暑:
指さ
す:
残ざんしょ暑見み
舞ま
い:
暑しょちゅう中見み
舞ま

 暑中というのは「大たいしょ暑」にあたる
期き
間かんのことで、7月20日ごろから
8月8日ごろの立りっしゅう秋の前ぜんじつ日までを指さ
します。ですから、暑中見舞いはこ
の間あいだに相あい手て に着つ くように出だ します。
その期間を過す ぎた場ば 合は、残ざんしょ暑見舞
いとして出します。
 なお、年ねん賀が 状じょうのように、暑中見舞
い・残暑見舞いをいただいた場合も、
必かならず礼れいじょう状を出しましょうね。
新しいことば
~として:
必かならず:
礼れいじょう状:
☜全
ぜんこくこうこう
国高校野


きゅう

たいかい

もう一つの夏の風物詩が、全国高校野球大会。
毎まいとし年、甲こう子し 園えんきゅうじょう球場で熱ねっせん戦が繰く り広ひろげられる。
51
【話しましょう】
1 お盆というのは、どのような行事ですか。
2 「あの世」「この世」というのはどういう意味ですか。
3 灯籠流しというのは、何のために行う行事ですか。
4 盆踊りは、もともとどのような意味を持っていましたか。
5 盆踊りは、今、どのようなものと考えられていますか。
6 お盆は、日本人にとってどんな日ですか。
7 あなたの国には盆踊りのようなみんなで踊る行事がありますか。あれば、
  紹しょう介かいしてください。
8 あなたの国には、年賀状や暑中見舞いのような書しょじょう状を送る習慣があります
  か。あれば話してください。
9 日本にはどのような宗しゅうきょう教がありますか。
10 あなたの国で、夏の風物詩といえば、どんなものがありますか。
52
ー8月〔葉は 月づき)の暦こよみー
1 原げんばくとう爆投下か ~敗はいせん戦(8月15 日)へ
8月 6日 広ひろしま島に原爆投下
8月 9日 長ながさき崎に原爆投下
8月15 日 ポツダム宣せんげんじゅだく言受諾・日本無む 条じょうけんこうふく件降伏(=「終しゅうせん戦記き 念ねん日び 」)
8月30 日 連れんごうこくさいこう合国最高司し 令れいかん官マッカーサー元げんすい帥、厚あつ木ぎ
飛ひ
行こうじょう場に降お り立た つ。
忘わすれてはならない「原爆~終しゅうせん戦記き 念ねん日び 」
 アメリカ軍ぐんは1945 年の8月6日広島に、
8 月9 日長崎に原爆を投下しました。広島で
は30 万まん人にん、長崎では8 万人の市し 民みんの命いのちが一いっ
瞬しゅんにして奪うばわれました。軍ぐん部ぶ はなお「本ほん土ど 決
戦」を叫さけんでいましたが、天てんのう皇の決けつだん断で「ポ
ツダム宣言」の受諾が決けってい定されました。
 1945 年8 月15 日、NHKラジオは天皇の肉にくせい声によって全ぜんこくみん国民に日本
が戦せんそう争に負ま けたことを伝つたえました。日本ではこの日を太たいへいよう平洋戦争終しゅうけつ結の
日として、終戦記念日としています。他た 方ほう、この日は韓かんこく国や台たいわん湾の人ひとびと々
にとっては日本の植しょくみん民地ち
支し
配はいから解かいほう放された記き 念ねんすべき日であり、韓国
では「光こう復ふくせつ節」として国こくみん民の祝しゅくじつ日となっています。
2 夏なつやす休みの終わり(8月31 日)
小しょうちゅうがっこう中学校では、夏休みを7/20 ~ 8/31 とし
ているところがほとんどですが、夏暑あつい地ち 域いきで
は少すこし長ながいかわりに冬ふゆやす休みが短みじかくなったり、逆ぎゃく
に冬寒さむい地域では夏休みを短くされて冬休みが
長かったりします。しかし、ほとんどの小中学校では、この日に楽たのしい
夏休みが終わります。
<広島に投下された原爆>
53
【書きましょう】
あなたが子どものころの、楽しい夏休みの思い出について書いてください。
54
関かんとうだいしんさい東大震災と「防ぼうさい災の日ひ 」
 9 月1 日は「防災の日」です。1923 年のこの日に起お きた関東大震災〔死し
者しゃ・行ゆく方え
不ふ
明めいしゃ者14 万
人以い 上じょう、江え
戸ど
以い
来らいの木もく
造ぞうけんちく建築はこのとき、火か
事じ
で焼しょうしつ失しました)の
教きょうくん訓を忘わすれないという
意い
味み
を込こ めて、1960
年に制せいてい定されました。
 もう一つの由ゆ 来らいが
「二にひゃく百十とおか日」という厄やく
日び
です。立りっしゅん春から数かぞえて210 日目、太たいようれき陽暦で9 月1 日ごろが、台たいふう風が一いちばん番よ
く来らいしゅう襲する厄日なのです。そこで、9月1日の防災の日には、日本全ぜんこく国で大だい地じ
震しんや災さいがい害の発はっせい生を想そうてい定した防災訓くんれん練が行おこなわれています。
 日本では昔むかしから怖こわいものを順じゅんに並ならべて、「地震・雷かみなり・火事・親おや父じ 」と言い いました。
最さいきん近では「親父」は怖くなくなりましたが、やはり地震は日本人が一番怖いも
のでしょう。1995 年1 月17 日にも阪はんしん神淡あわ路じ 大震災が起こり、死者6.434 名、
行方不明者3 名、家か 屋おくの倒とうかい壊など、10 兆ちょうえん円規き
模ぼ
の被ひ 害がいを出だ しています。
 そのため、日本の家か 庭ていでは、いざという時ときに備そなえて避ひ 難なん場ば 所しょを確かくにん認しあい、
各かく人じんよう用の非ひ 常じょう持も ち出だ し袋ぶくろが用よう意い されていま
                す。その
中なか身み は一ひとり人で持ち出せる最さいていげん低限の
                もの、
例たとえば、ミネラルウォーター、イン
                スタント
食しょく品ひん、缶かんづめ詰、医い 薬やくひん品などです。み
                なさん、「
備そなえあれば、憂うれいなし」ですよ。
9月の行事とくらし
<関東大震災時の横浜>
                
55
使いましょう
1 ~以来/~て以来
 ◆江戸以来の木造建築は、このとき、火事で焼失しました。
 ◇ 父ちちは病びょう気き で入にゅういん院して以来、             。
 ◇ 先せんげつ月以来、               。
2 ~を込めて
 ◆関東大震災の教訓を忘れないという意味を込めて、1960 年に制定されました。
 ◇母はははいつも       を込めて、私たちのお弁べんとう当を作ってくれた。
 ◇無ぶ
事じ
に育そだってほしいという願ねがいを込めて、母は          。
3 ~なくなる
 ◆最近では「親父」は怖くなくなりました。
 ◇昔むかしはとてもおいしかったけど、最さいきん近、あまり          たね。
 ◇若わかいころはずいぶん飲の んだが、年としをとってあまりお酒が          。
新しいことば
防ぼうさい災:
行ゆく方え
不ふ
明めいしゃ者:
~以い 来らい:
木もくぞうけんちく造建築:
消しょうしつ失する:
教きょうくん訓:
~を込こ めて:
由ゆ
来らい:
厄やく日び :
台たいふう風:
来らいしゅう襲する:
災さいがい害:
怖こわい:
雷かみなり:
家か
屋おくの倒とうかい壊:
規き
模ぼ

被ひ
害がいを出だ す:
いざという時とき:
備そなえる:
避ひ
難なん場ば 所しょ:
非ひ
常じょう持も ち出だ し袋ぶくろ:
ミネラルウオーター:
インスタント食しょくひん品:
缶かんづめ詰:
医い
薬やくひん品;
備そなえあれば憂うれいなし:
56
敬けいろう老の日ひ (9月15 日)
 9月15 日は「敬老の日」です。長ながい間あいだ社しゃかい会
のために尽つ くしてきた高こうれいしゃ齢者を敬うやまい、長ちょうじゅ寿を祝いわ
う日ですが、それとともに若わかい世せ 代だいに高齢者福ふく
祉し
に関かんしん心を持も ってもらおうという気き
持も
ちが込こ め
られています。
 みなさん、高齢者というのは何なんさい歳からか知し っ
ていますか。一いっぱん般に65 歳さい以い 上じょうを高齢者と呼よ び、高齢者の割わりあい合が7% ~
14% の社会を高齢化社会、14% ~ 21% の社会を高齢社会、それ以上を
超ちょう高齢社会と呼んでいます。日本は1994 年に高齢社会となりましたが、
2010 年には超高齢社会となる見み
込こ
みです。
敬けいろう老の日ひ :
尽つ
くす:
高こうれいしゃ齢者:
敬うやまう:
長ちょうじゅ寿:
新しいことば
~とともに:
福ふく祉し :
~に関かんしん心を持も つ:
割わりあい合:
見み
込こみ

☜ お月
つき
見み
(中
ちゅうしゅう
秋の名
めいげつ
月)
お月見は旧きゅうれき暦の8月15 日に月を鑑かんしょう賞する行ぎょう事じ
で、「中秋の名月」、「十じゅうご五夜や 」と呼ばれます。
月見の日には、おだんごやススキ、サトイモな
どをお供そなえします。
月見団
だん
子ご

57
【話しましょう】
1 防災の日にはどのようなことが行われますか。
2 「二百十日」というのはどのような日ですか。
3 日本の家庭では、地震に備えて、どのような準備をしていますか。
4 非常持ち出し袋にはどんな物が入っていますか。
5 高齢社会というのは、どのような社会のことですか。
6 あなたの国ではどのような防災訓練が行われていますか。
7 あなたが怖いと思うものを、順番に四つあげてください。
8 あなたの国には日本の敬老の日に似に た行事がありますか。あれば、どのよ
  うなお祝いの行事をするか、紹しょうかい介してください。
9 あなたはおじいさん、おばあさんになったら、どんな生せいかつ活がしたいですか。
10 あなたの国には、お月見の風習がありますか。あれば、どんなことをする
  か、紹介してください。
58
ー9月〔長ながつき月)の暦こよみー
1 防ぼうさい災の日ひ (9月1日)
2 菊きく[重ちょうよう陽]の節せっ句く (9月9日)
3 中ちゅうしゅう秋の名めいげつ月(9月15 日)
旧き
ゅうれき暦 で8月15 日の月を「十五夜や 」「中秋の名月」と言い います。旧暦で
は1~3月が春はる、4~6月が夏なつ、7~9月が秋あき、10~12月が冬ふゆです。
そこで8月は秋の真ま ん中なかの月つきなので「中秋」と呼よ ばれています。
古こ
来らい、満ま んげつ月 が一いちばん番 美うつくしいものとされました。中なかでも中秋のこの時じ
期き

空くう気き が澄す んでいて、最もっとも美しい満月が見み られるということで、平へ いあん安
時じ
代だい
初しょ期き に、この日に月を見ながら宴えんかい会をする風ふうしゅう習 ができたのです。一いっぱんしょ般庶
民みんの間あいだに広ひろまったのは江え
戸ど
時代以い 降こうで、月の見えるところにすすきを飾かざ
り、月つき見み 団だん子ご 、里さといも芋、枝えだまめ豆などを盛も って、大おと人な は月つき見み 酒ざけを飲の みます。
4 敬けいろう老の日ひ (9月15 日)
5 秋しゅうぶん分の日ひ (9月23 日ごろ) 
 秋分の日は春しゅんぶん分 の日と同どうよう様に、昼ひると夜よるの長ながさが等ひとしくなる日です。秋
分の日を中ちゅうしん心とした前ぜん後ご 一いっしゅうかん週間を「秋あき彼ひ 岸がん」と言います。家いえいえ々では、家か
族ぞくでお墓はかまいりに行ったり、祖そ 先せんを供養する「法ほう会え 」を行おこなったりします。
 もともと日本では、春分と秋分のころに豊ほうさく作を祝いわう神しんとう道 行ぎょう事じ がありま
したが、仏ぶっきょう教 の浸しんとう透 とともに秋分は「秋の彼岸」として祖先を供養する
意い
味み
を持も ち始はじめました。そして1948 年には、広ひろい意味で「祖先を敬うやまい、
亡な
くなった人を忍しのぶ日」として国こくみん民の祝しゅくじつ日に制せいてい定されました。
59
【書きましょう】
あなたの国で起こった大きな天災について書いてください。
60
「体たいいく育の日ひ 」と秋あきの運うんどうかい動会
           以い 前ぜんは10 月10 日、今いまは10 月の第だい2月げつよう曜日び が「体
          育の日」として祝しゅくじつ日になっています。この「体育の日」は、
          1964 年のこの日、東とうきょう京オリンピックの開かいかいしき会式が行おこなわれ
          たのを
記き 念ねんして制せいてい定されました。東京オリンピックは、
日本にとって「戦せん後ご 」の終お わりを告つ げるものでした。このイベントを境さかいにして、
日本は貧まずしい国くにから豊ゆたかな国へと変へんしん身し、高こう度ど 経けいざい済成せいちょう長の時じ 代だいのまっただ中なかに
飛と
び込こ みます。
 さて、この「体育の日」の行ぎょう事じ といえば小しょうちゅう中
学がっこう校で行われる「秋あきの運うんどうかい動会」でしょう。では、
この「運動会」はいつのころから始はじまったので
しょうか。日本でも刀とうじゅつ術や弓きゅうじゅつ術、馬ば 術じゅつなど特とくてい定
の競きょう技ぎ 大たいかい会はあったのですが、「運動会」とい
う体たいいくぜんぱん育全般にわたる行事は行われていませんでした。どうも運動会という行事
は、明めい治じ の文ぶんめいかい明開化か のころに西せいよう洋から持も ち込こ まれたらしいです。最さいしょ初は軍ぐん事じ
訓くんれん練に近ちかいものだったらしいのですが、回かいを重かさねるにつれて、ち地域いきぐるみのお
祭まつりになっていきました。運動会では、秋あき晴ば れの空そらの下もと、親おや子こ が一いっしょ緒に手て づく
りの弁べん当とうを広ひろげ、親たちは「がんばれ~」と声こえの限かぎりに自じ 分ぶんの娘むすめや息むす子こ に声せいえん援
を送おくります。ですから、子こ どもたちにとって、運動会は昔むかしも今いまも特とくべつ別な行事な
のです。
現げんだいしゃかい代社会では運動不ぶ 足そくやストレス、脂し 肪ぼうや糖とうぶん分の
多おおい食た べ物ものを原げんいん因とする肥ひ 満まんが心しんぱい配されるようにな
っていますから、「体育の日」を契けい機き にして、それ
ぞれの体たいりょく力や年ねんれい齢に合あ ったスポーツを始はじめるのもい
いかもしれませんね。
10 月の行事とくらし
<綱引き>
<二人三脚走>
61
使いましょう
1 ~らしい
 ◆運動会という行事は、文明開化の時に西洋から持ち込まれたらしいです。
 ◇どうやらその話はなしは          らしい。
 ◇今け
朝さ
の天てん気き
予よ
報ほうによると、今きょう日は午ご 後ご から            らしい。
2 ~につれて
 ◆回を重ねるにつれて、地域ぐるみのお祭りになっていきました。
 ◇年としをとるにつれて、                      。
 ◇時ときが経た つにつれて、                      。
3 ~かもしれません
 ◆それぞれの体力や年齢に合ったスポーツを始めるのもいいかもしれませんね。
 ◇もしかしたら、                 かもしれません。
 ◇               かもしれないが、よく覚おぼえていないんだ。
         
新しいことば
体たいいく育:
オリンピック:
告つ
げる:
イベント:
変へんしん身する:
高こう度ど 経けいざいせいちょう済成長:
まっただ中なか:
飛と
び込こ む:
刀とうじゅつ術・弓きゅうじゅつ術・馬ば 術じゅつ:
特とくてい定:
競きょう技ぎ 大たいかい会:
~にわたる:
文ぶんめいかい明開化か :
持も
ち込こ む:
軍ぐん事じ 訓くんれん練:
回かいを重かさねる:
~につれて:
地ち
域いきぐるみ:
秋あき晴ば れ:
~の下もとで:
~の限かぎりに:
声せいえん援を送おくる:
ストレス;
脂し
肪ぼう:
糖とうぶん分:
~を契けい機き にして:
それぞれ:
スポーツ:
62
秋あきの収しゅうかく穫を祝いわう「神かんなめさい嘗祭」とハロウィン
 10 月15 日から25 日にかけて、伊い
勢せ
神じんぐう宮では神かんなめさい嘗祭が行おこなわれます。
これは、その年としにとれた新あたらしい米こめを最さいしょ初に神かみさまに捧ささげて、秋あきの実みのりに
感かんしゃ謝する行ぎょう事じ です。戦せんぜん前は祝しゅくじつ日になっていました。
同おなじようなお祭まつりに「ハロウィン」があります。このお祭りは、古こ 代だい
ケルト人にんの秋の収穫感謝祭さいに起き 源げんがあると言い われています。アメリカで
は子こ どもたちはかぼちゃの中なか身み をくりぬいたちょうちんを作つくり、夜よるにな
ると怪かい物ぶつの格かっこう好をして近きんじょ所の家いえを訪たずね歩あるき、「Trick or
treat?」(いたづらされたい?嫌いやなら接せったい待して)と言っ
てお菓か
子し
をもらいます。
神かんなめさい嘗祭:
捧ささげる:
秋あきの実みのり:
ハロウィン:
古こ
代だいケルト人じん:
かぼちゃ:
新しいことば
くりぬく:
ちょうちん:
怪かいぶつ物:
訪たずね歩あるく:
格かっこう好をする:
いたずらする:
☜ 神
かんなめさい
嘗祭
伊勢神宮で行われる収
しゅうかくさい
穫祭。
63
【話しましょう】
1 体育の日には各地でどのようなことが行われますか。
2 東京オリンピックは日本にとってどのような年でしたか。
3 日本では、いつごろから運動会という行事が始まりましたか。それが始まっ
  たころの運動会はどのようなものでしたか。
4 今の日本の運動会はどのような様子ですか。
5 日本の神嘗祭とハロウィンは、どこが共きょうつう通していますか。
6 あなたの国では、小中学校の運動会はいつごろ開かれますか。
7 あなたの国の運動会では、どのような競技が行われますか。あなたの国の
  運動会の様子はどうですか。
8 あなたが一番好きなスポーツは何ですか。それはどうしてですか。
9 あなたの国には、秋の収穫を祝う行事やお祭りがありますか。
10 あなたが秋と聞いて、思おもい浮う かべることはなんですか。
64
ー10 月〔神かん無な 月づき)の暦こよみー
1 衣ころも替が え(10 月1日)
 衣替えの習しゅうかん慣は、宮きゅうちゅう中行ぎょう事じ として始はじまりました。そんほ当とう時じ は、旧きゅうれき暦の
4 月1 日と10 月1 日に行われていました。衣替えが6 月1 日と10 月
1 日に変か わったのは明治以い 降こうで、学がっこう校や官かんこうちょう公庁、銀ぎんこう行など、制せいふく服を着ちゃくよう用す
るところでは、現げんざい在もこの日に衣替えが行われています。
2 体たいいく育の日ひ (10 月第2月曜日)
3 神かんなめさい嘗祭(10 月15 日~ 25 日)
4 原げん子し 力りょくの日ひ (10 月26 日) 
 1963 年10 月26 日、東とうかいむら海村日本原子力
研けんきゅうじょ究所の動どうりょく力試し 験けん炉ろ が日本初はつの発はつでん電に成せいこう功
したことを記き 念ねんして、原子力が定さだめられま
した。ほんとうは原子力発電などせずに済す
めばいいのですが、まだ太たいようこう陽光発はつ電でんなどの
次じ
世せ
代だいの発電が実じつよう用の域いきに達たっしていません。
それまでは原子力発電に頼たよるしかないのも事じ 実じつです。「原子力発電所が
安あんぜん全だというのなら、皇こうきょ居の隣となりに作ったらどうだ」という議ぎ 論ろんがありま
すが、ほんとうに皇居の中なかに作ってもいいくらいの安あんぜんたいさく全対策を取と るべき
でしょう。同どう時じ に、少すこしでも早はやく次世代のエネルギー開かいはつ発の研けんきゅう究を進すすめ
る必ひつよう要があるでしょう。
5 ハロウィン[Halloween](10 月31 日)
関西電力<高浜原子力発電所>
65
【書きましょう】
あなたの国で人にん気き のあるスポーツについて書いてください。
66
七五三と童どうよう謡「とうりゃんせ」
             七五三のお
祝いわいは、三歳さいと五歳の男だん児じ と三歳と七
            歳の
女じょ児じ の成せいちょう長を祝いわう儀ぎ 式しきです。家か 族ぞくそろって、11
            月15 日に
地じ 元もとの氏うじがみ神さまや神じんじゃ社にお参まいりします。
             七五三の祝いに
神じんじゃ社に行い ってお札れいを納おさめる様よう子す を
            
歌うたった歌に「とおりゃんせ」という童どうよう謡があります。
            この歌は「とおりゃんせ、とおりゃんせ、ここはど
この細ほそみち道じゃ、天てんじん神さまの細道じゃ……」という歌か
詞し
に始はじまるのですが、「行
きはよいよい、帰かえりは恐こわい」という恐おそろしい歌詞で終おわわります。どうして帰り
が恐いのか、諸しょせつ説あるのですが、当とう時じ 、「七つ前まえは神かみの子」という言こと葉ば があっ
たように、医い 療りょうが発はったつ達していませんし、疫えきびょう病や栄えいよう養不ぶ 足そくによる乳にゅうよう幼児じ の死し 亡ぼうりつ率
が高たかかった昔むかしは、七つを迎むかえるまでは、その子が無ぶ
事じ
に大おとな人になるかどうかわ
からないというのが現実でした。ですから、七ななさい歳まではいつ神に召め されるかも
しれない「神の子」と考えていたのでした。天てんじん神さまに七つのお祝いのお札を
納めたけれど、神がいつ子どもを連つ れ去さ っていくかもしれない。この歌詞には
そんな親おやの不ふ 安あんや子の無事を祈いのる切せつない思おもいが表あらわれているのです。
 この七つの祝いの後あとは、地元の氏神さまの氏うじ子こ となって、地ち 域いきの共きょうどうたい同体の
一いちいん員として迎えられました。現げん在ざい、義ぎ
務む
教きょういく育が七歳から始まるのもその名な 残ごりな
のです。 七五三というのは、子どもを社会の一員として
受う
け入い れる行ぎょう事じ でもあったのです。
 現在では、こんなしきたりに関かんけい係なく、着き 物ものや袴はかまを着き
せ、千ち 歳とせあめ飴を買ってお祝いします。この千歳飴を引ひ っ張ぱ
ると伸の びるのですが、寿じゅみょう命が伸びるという縁えん起ぎ ものです
から、お赤せきはん飯とともに、千歳飴を親しんせき戚や親したしい人ひとへ、内うち
祝いわいとして配くばることもあります。
11 月の行事とくらし
<千歳飴>
67
新しいことば
使いましょう
1 ~まで(は/に)
 ◆七つを迎えるまでは、無事に大人になるかどうかわからないというのが現実でした。
 ◇兄あにはいつも夜よるおそ遅くまで、             ています。
 ◇子どもが帰ってくるまでに、             なければなりません。
2 ~として
 ◆七五三というのは、子どもを社会の一員として受け入れる行事でもあったのです。
 ◇      として、一いちまんえん万円いただきます。
 ◇今きょう日は   としてではなく、一人の   として、君きみに話はなしたいことがある。
3 お~します
 ◆お参りする/お祝いする
 ◇「雨あめですね。」「私の傘かさでよければ、       しましょうか。」
 ◇ちょっと         しますが、近ちかくに郵ゆうびんきょく便局はございませんか。   
       
男だん児じ :
女じょ児じ :
氏うじがみ神:
お札ふだを納おさめる:
諸しょせつ説:
医い
療りょう:
発はったつ達する:
疫えきびょう病:
栄えいよう養不ぶ 足そく:
乳にゅうよう幼児じ :
死し
亡ぼうりつ率:
迎むかえる:
神かみに召め される:
連つ
れ去さ る:
切せつない思おもい:
氏うじ子こ :
~として:
義ぎ
務む
教きょういく育:
名な
残ごり:
しきたり:
袴はかま:
千ち
歳とせあめ飴:
縁えん起ぎ もの:
赤せきはん飯:
親しんせき戚:
内うちいわ祝い:
68
勤きんろうかんしゃ労感謝の日ひ
戦せんぜん前は、11 月23 日に「新にいなめさい嘗祭」が行おこなわれていました。「新嘗祭」は
古ふるくから国くにの大たいせつ切な行事で、「瑞みず穂ほ の国くに(日本の美び 称しょう)」の祭さい祀し を司つかさどる
最さいこうせきにん高責任者しゃである天てんのう皇が国こくみん民を代だいひょう表して、神かみに農のうさくぶつ作物の恵めぐみに感かんしゃ謝する
式しきてん典でした。
 この「新嘗祭」は1948 年に「勤労感謝の日」に、
改かいめい名されて、国民の祝しゅくじつ日となりましたが、改名にあ
たっては、本ほんらい来の「新嘗祭」として祝いわうべきだなど、
さまざまな意見がありました。しかし、今こんにち日の「労ろう
働どう」は農のうぎょう業だけでなく、工こうぎょう業やサービス業なども含ふくんだ幅はばひろ広い意い
味み
を持も
つようになっているので、現在の「勤労感謝の日」となりました。
新にいなめさい嘗祭:
瑞みず穂ほ の国くに;
祭さい祀し を司つかさどる:
最さいこうせきにんしゃ高責任者:
天てんのう皇:
農のうさくぶつ作物:
恵めぐみ:
式しきてん典:
新しいことば
勤きんようかんしゃ労感謝の日ひ :
改かいめい名する:
~にあたって:
本ほんらい来:
~べきだ:
工こうぎょう業:
サービス業ぎょう:
幅はばひろ広い:
☜「新
にいなめさい
嘗祭」の式
しきてん

 「新嘗祭」は五ご 穀こくほうじょう豊穣を祈いのる大切な式典
で、天皇が神に感謝し、自みずからもその年に
取と
れた新しんまい米を食べる儀ぎ 式しきです。
69
【話しましょう】
1 七五三というのは、どのような儀式のことですか。
2 「七つ前は神の子」というのは、どういうことを表していますか。
3 「とうりゃんせ」の歌詞の終わりが「行きはよいよい、帰りは恐い」となっ
  ているのはどうしてですか。
4 七五三が終わった子どもは、その社会でどのように迎えられましたか。
5 現在の七五三は、どのようになっていますか。
6 あなたの国では、七五三のような子どもの成長を祝う儀式がありますか。
7 あなたの国では、子どもの成長を祝うときに、どのような物を食べる習しゅうかん慣
  がありますか。また、どうしてそれを食べるか知っていますか。
8 あなたの国には、秋あきの五ご 穀こくの実みのりを祝う行事がありますか。あれば、紹しょうかい介
  してください。
9 あなたの国には、「勤労感謝の日」のような祝日がありますか。あれば、 
  紹介してください。
10 日本では食しょく事じ の前まえに「いただきます」と言い いますが、それは「あなたの命いのち
  を私がいただきます」と命への感謝を表すと言われます。あなたの国では
  食事の前になんと言いますか。どうしてそういうか知っていますか。
70
ー11 月〔霜しもつき月)の暦こよみー
1 文ぶん化か の日ひ (11 月3日)
           戦前は、11 月3日を明治節といい、明めい治じ 天てんのう皇の
          遺い 徳とくを偲しのぶための祝しゅくじつ日でした。しかし、戦せん後ご は廃はい
          止し され、「自じ 由ゆうと平へい和わ を愛あいし、文ぶん化か をすすめる」と
          いう趣しゅ旨し のもとに、文化の日に改かいてい定されました。
           この日には文化を称たたえる行ぎょう事じ として、皇こうきょ居で文
          化勲くんしょう章の授じゅ与よ 式しきが行おこなわれます。また文ぶん化か 庁ちょうしゅさい主催に
よる芸げいじゅつさい術祭が開かいさい催されています。
2 太
たいようれきさいよう
陽暦採用記


ねん
日び
(11 月9日)
 1892 年11 月9日、太たいいんれき陰暦が廃止され、太陽暦
が採さいよう用されました。この年としの12 月3日が明めい治じ 6年
1月1日と改あらためられましたが、12 月がたった2ふつか日
間かんしかないことになり、このとき、世よ の中なかは大おおさわ騒
ぎになったそうです。
3 世せ 界かいへい平和わ
記き
念ねん日び (11 月11)
 1918 年11 月11 日、第一次世界大
たいせん
戦の休
きゅうせんきょうてい
戦協定が成
せいりつ
立し、不


せんじょうやく
条約
が交

わされた日です。それを記念して、この日を世界平和記念日とする
ことが決

まったのですが、永
えいえん
遠の平和に対
たい
する願
ねが
いも空
むな
しく、 1939 年に
は、再
ふたた
び第二次世界大戦が起

こってしまいました。
4 七しち五ご 三さん(11 月15 日) 
5 勤きんろうかんしゃ労感謝の日ひ (11 月23 日)
71
【書きましょう】
「私の国の伝でんとうてき統的な食べ物」について書いてください。
72
クリスマスと除じょ夜や の鐘かね
 12 月24 日~ 25 日のクリスマスはキリストの
生せい誕たんを祝いわう日で、キリスト教きょうけん圏の人ひとびと々は、教きょうかい会で
ミサをした後あと、厳げんしゅく粛にキリストの生誕を祝います。
 クリスマスは、フランシスコ・ザビエルが日本
にキリスト教きょうを伝つたえてから、450 年の歴れき史し があり
ます。日にち露ろ 戦せんそう争のころには、すでに日本文ぶん化か の一いち部づ となっていました。しかし
日本では、宗しゅうきょうてき教的な意い
味み
は薄うすれ、パーティを開ひらいたりプレゼントを交こうかん換する、
年ねんまつ末の楽たのしい行ぎょう事じ になっています。街まちには色いろとりどりのクリスマス・ツリーが
輝かがやき、クリスマス・ソングがにぎやかに流ながれます。
            「師し 走わす」とはよく言い ったもので、クリスマスが終お わ
           ると、慌あわただしく年としの暮く れがやってきます。一年の最さい
           後ご の日を大おおみそ晦日か と言いますが、大晦日にそばを食べる
           のは、そばが長ながいことから、命いのちや幸しあわせが長く続つづくこと
           を
祈いのる縁えん起ぎ ものだからです。大晦日には、自じ 宅たくでNH
K紅こうはくうた白歌合がっ戦せんを聞き きながら年としを越こ す人ひともいますし、お寺てらにお参まいりして、そのま
ま除じょ夜や の鐘かねを聞きながら新しんねん年を迎むかえる人もいます。山やま
に登のぼったり、海うみ辺べ に宿やどを取と り、元がんたん旦に初はつ日ひ の出で を拝おがむ
人もいます。除夜の鐘というのは、中ちゅうごく国の宋そうの時じ 代だいに
始はじまった仏ぶっきょう教行ぎょう事じ ですが、江え
戸ど
時じ
代だい以い 降こう、日本でも盛さか
んに行おこなわれるようになりました。除夜の鐘は、百八つ
つきますがが、これは人にんげん間が持も つ108 の煩ぼんのう悩を払はらうと
いう意い
味み
があると言われます。最後の一つは、年としが明あ
けてからつきますが、除夜の鐘が鳴な り終お わると、いよいよ新しんねん年です。
12 月の行事とくらし
<除夜の鐘>
<年とし越こしそば>
73
新しいことば
使いましょう
1 ~と/~ないと
 ◆クリスマスが終わると、慌ただしく年の暮れがやってきます。
 ◇              と、困こまります。
 ◇ 毎まいとし年、クリスマスになると、               。
2 ~のは~からです
 ◆大晦日にそばを食べるのは、命や幸せが長く続くことを祈る縁起ものだからです。
 ◇私が怒っているのは、あなたが           からです。
 ◇彼かれが             のは、一いっしょう生懸けんめい命がんばったからです。
3 ~ながら
 ◆自宅でNHK紅白歌合戦を聞きながら年を越す人もいます。
 ◇          ながらタバコを吸す うのは、やめてください。
 ◇         ながら           のは、よくないことですよ。
         
クリスマス:
キリスト(教):
生せいたん誕:
教きょうかい会:
ミサ:
厳げんしゅく粛(な):
歴れき史し :
すでに:
色いろとりどり:
クリスマス・ツリー:
輝かがやく:
クリスマス・ソング:
師し
走わす:
~とはよく言い ったもので:
慌あわただしい:
年としの暮く れ:
大おおみそ晦日か :
そば(蕎麦):
自じ
宅たく:
紅こうはくうたがっせん白歌合戦:
除じょ夜や の鐘かね:
海うみ辺べ :
宿やどを取と る:
初はつ日ひ の出で を拝おがむ:
煩ぼんのう悩を払はらう:
いよいよ:
74
お歳せい暮ぼ を贈おくる
お歳暮は、もともと嫁とついだ者ものや分ぶん家け した者が年としの瀬せ に
親おやもと元に戻もどるとき、正しょうがつ月のお供そなえ物ものを持じ 参さんしたのが始はじまり
とされています。それが、一いちねん年の締し めくくりに感かんしゃ謝のし
るしとして、お世せ
話わ
になった方かたに品しなもの物を贈おくりあう習しゅうかん慣に
なりました。
今いまではデパートなどから送おくることが多おおく、品しなもの物も日にちよう用
雑ざっ貨か 、趣しゅ味み の品しななどいろいろです。金きんがく額はお中ちゅうげん元の2~3割わり増ま しを目め 安やす
にし、先せんぽう方には12 月の初しょじゅん旬から20 日ぐらいまでに届とどくようにします。
31 日を過す ぎた場ば 合あいは、「お年ねん賀が 」として手て 渡わたすといいでしょう。
お歳せい暮ぼ :
嫁とつぐ:
年としの瀬せ :
親おやもと元:
供そなえ物もの:
持じ
参さんする:
新しいことば
締し
めくくり:
感かんしゃ謝のしるし;
日にちようざっ用雑貨か :
目め
安やす:
先せんぽう方:
手て渡わ



☜ 年
ねん
賀が

じょう
年も暮く れが迫せまると、年ねん賀が 状を書か きます。
年賀状を書き終お えて、やっと一ひとあんしん安心。こ
れが日本人の年の瀬せ です。
75
【話しましょう】
1 クリスマスというのは、どのような日ですか。
2 日本にキリスト教を伝えたのは誰で、いつごろのことですか。
3 日本の今のクリスマスはどのようですか。
4 日本人は、どうして大晦日におそばを食べますか。
5 除夜の鐘は、どうして108 回つくのですか。
6 お歳暮というのは、どういうものですか。
7 あなたの国では、クリスマスのお祝いをしますか。
8 あなたの国では、クリスマスにどのようなことをしますか。
9 あなたの国には、お歳暮や年賀状を書く習慣がありますか。
10 あなたの国では、大晦日をどのようにして過す ごしますか。
76
ー12 月〔師し 走わす)の暦こよみー
1 冬とう至じ (12 月22 日ごろ)
毎まいとし年12 月22 日ごろが冬至にあたり、一年で最もっとも昼ひるが短みじかく、夜よるが長ながい
日です。このころからしだいに寒さむさも本ほんかくてき格的になります。冬至にはかぼ
ちゃを食た べる習しゅうかん慣がありますが、野や 菜さいが不ふ 足そくしがちなこの時じ
期き
に、ビタ
ミンやカロチンを摂と るという合ごう理り 性せいがあり、昔むかしの人は「冬至までとって
おいたかぼちゃを食べると魔ま
除よ
けになる」と考かんがえていました。
2 天てんのう皇誕たんじょう生日び (12 月23 日)
 12 月23 日は「天皇の誕生日を祝いわう日」と
して法ほうりつ律で定さだめられました。戦せん前ぜんは天皇は現あら
人ひとがみ神として崇あがめられており、「天てんちょうせつ長節」と呼よ
ばれていました。 しかし戦せん後ご 、天皇は神では
なく「日に 本ほんこくみんとうごう国民統合の象しょうちょう徴」という新あたしい意い
味み
を持も つようになりました。そこで天皇の誕生日を純じゅんすい粋に誕生日として
祝い、国こくみん民と天皇との距きょ離り を縮ちぢめることを目もくてき的として、国民の祝しゅくじつ日「天
皇誕生日」となりました。
3 クリスマス(12 月24 日夜~ 25 日)
4 ご用ようおさ納め(12 月28 日) 
 ご用納めというのは、官かんちょう庁や役やくしょ所などがその年の執しつ務む を終わることで.
一いっぱんてき般的には12 月28 日のことを言い います。その反はんたい対に、執務を始はじめるこ
とをご用ようはじ始めといい、1月4日がご用始めとなります。つまり、官庁や
役所は、12 月29 日から1月3日までが休やすみとなります。
5 大おおみそ晦日か (12 月31 日)
77
【書きましょう】
あなたの国の年末の行事について書いてください。
78
79
第二部 
くらしのマナー
中級前期~中級後期
80
1 お辞じ
儀ぎ
と握あくしゅ手
 お辞じ
儀ぎ
と握あくしゅ手は、代だいひょうてき表的な挨あいさつ拶の形かたちですが、お辞儀は相あい手て への敬けい意い を表あらわし、
握手は親しんぼく睦・和わ 解かいを表すという違ちがいがあります。日本での丁ていねい寧な挨拶はお辞儀
が一いっ般ぱん的てきでしたが、近きんねん年では握手も一般化してきています。
           お辞儀は、
主おもに東アジアで見られるものですが、飛あす鳥か
          ~
奈な
良ら
時じ
代だい、中国の礼れいほう法を取り入い れ、身み 分ぶんに応おうじたお辞
          儀の形が
制せいてい定されたのが、お辞儀の始はじまりと言われてい
          ます。
首くびを差さ し出すことで、敵てき意い がないことを表ひょうげん現した
          ことに
由ゆ 来らいすると言われます。
           お辞儀には「
立りつれい礼」「座ざ 礼れい」
の2 種しゅるい類があります。座礼は和わ 式しき礼法ですから、な
じみが薄うすいと思いますが、和わ 風ふうの畳たたみの部へ
屋や
に通とおされ
たとき、初しょたいめん対面の挨拶のときなどに必ひつよう要となります。
 オフィスでのお辞儀は「立礼」ですが、礼の深ふかさで分ぶんるい類すると、「最さいけいれい敬礼」「敬礼」
「会え 釈しゃく」の3 種類があります。立礼の場ば 合あい、「最敬礼」は直ちょくりつ立の姿し 勢せいから腰こしを基き
点てんに45度ど
以い
上じょうたい体を曲ま げます。「敬礼」は30 ~ 45 度、「会釈」は15 度程てい度ど です。
頭あたまを下げるだけのお辞儀はいけません。腰こしを基き 点てんに上じょうはんしんぜんたい半身全体を前まえに倒たおします。
1拍ぱく目め でサッと倒し、2拍はく目で止めて、3~5拍目でゆっくりと体を起お こしま
す。この動うごきの緩かんきゅう急と静せい止し した状じょうたい態のメリハリが美うつくしさを生う みます。
                 最敬礼:特とくに敬けい意い を表あらわしたり、お詫わ びの
                 気き
持も
ちを真しんけん剣に伝えたい時に使います。
                 敬礼 :来らいきゃく客を出で 迎むかえたり、見み 送おくるとき、
                 または、上じょう司し への挨拶などに使う一般的
                 なお辞儀です。
                 会釈 :同どうりょう僚や上司と廊下などですれ違ちが
                 う時や、応おうせつしつ接室の入にゅうたいしつ退室時じ に使うお辞儀
                 です。
81
 なお、手にハンドバッグとか荷に 物もつとかを持って
いるときですが、右のイラストのように、前に抱かか
えるようにしてお辞儀をするといいでしょう。
西せいよう洋の挨拶は握手がメインですが、握手は一般
的に右みぎ手て で、立って行います。握手の由ゆ 来らいは諸しょせつ説
ありますが、手に武ぶ
器き
を持っていないことを、相手に証しょうめい明することから始まっ
たと言う説せつが有ゆうりょく力です。
 握手は背せ 筋すじを伸の ばし、必かならず相手の顔かお(目め )を見て行います。握手の際は、しっ
かりと握にぎるようにしましょう。ゆるく握っては相手に誠せい意い がないと感かんじさせて
しまいます。なお、握手のときは、目め 上うえ・年としうえ上の人から目め 下した・年としした下の人へと手
を差さ し出だ すのがマナーです。握手は手が触ふ れあうので、そうした行こう為い を目下か
ら目上の人に対たいして強し いるのは失しつれい礼だからです。女じょせい性と男だんせい性では、女性から手
を差し出します。これはレディーファーストですね。しかし、日本では女性と
男性の場合には握手をしないで、軽くお辞儀をすることが多いようです。
 もう一つ注ちゅう意し してほしいことがあります。日本人によくある光こうけい景ですが、お
辞儀をしながら握手をするのは、卑ひ 屈くつに見えますから、やめましょう。また、
椅子などに座すわりながら握手をする人がいるのですが、握手は立って行うのがマ
ナーなので、これもいけません。これらは、社しゃかいじん会人の心こころ得え なので覚おぼえておきま
しょうね。
82
新しいことば
お辞じ
儀ぎ

握あくしゅ手:
挨あいさつ拶:
敬けい意い :
親しんぼく睦:
和わ
解かい:
主おもに:
東ひがしアジア:
身み
分ぶん:
~に応おうじる:
敵てき意い :
立りつれい礼:
座ざ
礼れい:
和わ
式しきれいほう礼法:
なじみが薄うすい:
初しょたいめん対面:
オフィス:
(最さい)敬けいれい礼:
会え
釈しゃく:
直ちょくりつ立:
姿し
勢せい:
基き
点てん:
曲ま
げる:
緩かんきゅう急:
メリハリ:
お詫わ び:
真しんけん剣(な):
来らいきゃく客:
出で
迎むかえる:
見み
送おくる:
或あるいは:
すれ違ちがう:
応おうせつしつ接室:
なお:
ハンドバッグ:
抱かかえる:
メイン:
武ぶ
器き

証しょうめい明する:
説せつ:
有ゆうりょく力(な):
背せ
筋すじを伸の ばす:
~際さい:
誠せい意い :
印いんしょう象:
差さ
し出だ す:
触ふ
れあう:
~に対たいして:
強し
いる:
失しつれい礼:
レディーファースト:
卑ひ
屈くつ(な):
心こころ得え :
83
2 あいさつと名めい刺し
 みなさんは「挨あいさつ拶」の語ご 源げんをご存ぞん知じ ですか?「挨」には心こころを開ひらくという意い
味み
があり、「拶」には相あい手て に近ちかづくという意味があります。つまり、あいさつは「心
開いて、相手に近づいていく」という意味なのです。
昔むかしから日本人は、他た 人にんと外そとで出で
会あ
ったり、すれ違ちがったりした際さいは、たとえ
見み
知し
らぬ人でも、声こえをかけるのが一いっぱんてき般的な礼れい儀ぎ でした。挨拶ができない者ものは、
一いちにんまえ人前とはみなされませんでした。今でも日本では、会かいしゃ社や近きんじょかんけい所関係など各かくコ
ミュニティの中で、そういった傾けいこう向が強つよく残のこっています。
朝あさ会あ ったときのあいさつ「おはよう」は、「早はやくから、ご苦く 労ろうさまです」の
略りゃくだと言い われています。それは朝から働はたらく人をねぎらう言こと葉ば でした。「こんに
ちは」は「今きょう日は、ご機き 嫌げんいかがですか」の略で、お昼ひるに初はじめて出会った人の
体たいちょう調や心しん境きょくを気き づかっていました。「こんばんは」は「今こんばん晩は、よい晩ばんですね」
など略だと言われます。また、「さようなら」は「さようならば」の略で、「そ
れなら、私はこれで失しつれい礼いたします」という意味だったそうです。
 会社では、外がいしゅつ出する上じょう司し・先せんぱい輩にはもちろん、同どうりょう僚への「いってらっしゃい」、
外出から帰かえってきたら「お帰かえりなさい」、仕し 事ごとが終お わって帰き 宅たくする人への「お
疲つかれさま」などのあいさつは、忘わすれてはならない礼れい儀ぎ でしょう。
 さて、ビジネスの世せ 界かいのあいさつに
欠か
かせないのが名めい刺し です。初しょたいめん対面のと
き、一般的には「お世せ
話わ
になっており
ます、○○商しょう事じ のXX でございます」
のように名な
乗の
りながら、名刺を渡わたしま
す。名刺はその人の身み 分ぶんしょうめいしょ証明書であり、
名刺を丁ていねい寧に扱あつかうことで、相手に敬けい意い を払はらっていることを表します。
 名刺交こうかん換のときは、まず目め 下したの人が目め 上うえの人に渡します。一方、先せんぽう方への訪ほう
問もんの際は、「お邪じゃ魔ま します」という意味を込こ めて、訪ほうもんしゃ問者が先さきに出だ します。ただし、
訪問者の方ほうが明あきらかに目上・格かくうえ上の場合は、訪問を受う けた側がわが先さきに出します。
84
 名刺は世せ 界かいじゅう中で使われていますが、最もっとも古ふるいのは中ちゅうごく国で、唐とうの時じ 代だいの文ぶんけん献
には木き や竹たけせい製の名刺についての記き 述じゅつがあります。「名刺」という言葉そのもの
が、中国の古こ
語ご
なのです。当とう時じ は、訪問先が不ふ 在ざいの際に、戸と 口ぐちの隙すき間ま に挟はさんで、
来らいほう訪を知し らせる目もくてき的で使われたようです。日本では、江え
戸ど
時じ
代だいから和わ
紙し
に墨すみで
名前を書いた名刺が使われ始めました。その後ご 、初しょたいめん対面の人にも自じ
己こ
紹しょうかい介がわ
りに名刺を渡すようになりますが、それは日本が最さいしょ初だと言われています。日
本は今でも世界で最も名刺交換をする国と言われますが、この名刺交換の習しゅうかん慣
は、日本の文ぶん化か そのものと言ってもいいでしょう。
ビジネスの挨拶をマスターしましょう
◆おはようございます:一いちにち日をさわやかにスタートさせましょう。
◆こんにちは:相あい手て の気き 分ぶんに変へん化か をつけましょう。
◆ありがとうございます:感かんしゃ謝を伝つたえましょう。
◆申もうし訳わけございません:失しっぱい敗は素そっちょく直に認みとめましょう。
◆行い ってらっしゃい:気き
持も
ちよく送おくり出だ しましょう。
◆お帰かえりなさい:暖あたたかく迎むかえましょう。
◆行い ってまいります:外がいしゅつ出を知し らせましょう。
◆ただいま戻もどりました:無ぶ
事じ
に戻もどったことを伝つたえましょう。
◆今いま、お手て すきですか:自じ 分ぶんから用ようけん件を切き り出だ すときに使つかいましょう。
◆失しつれい礼いたします:相手の動どう作さ を中ちゅうだん断させるときに使いましょう。
◆お疲れさまでした:相手の苦く 労ろうをねぎらいましょう。
◆いつもお世話になっております:取とりひきさき引先の人へ感謝を伝えましょう。
◆お先に失礼します:退たいしゃ社の際さいに忘わすれず言い いましょう。
85
新しいことば
語ご
源げん:
声こえをかける:
一いちにんまえ人前:
みなす:
ビジネス:
コミュニティー:
傾けいこう向:
~はもちろん:
ご苦く 労ろうさま:
ねぎらう:
ご機き 嫌げんいかがですか:
欠か
かせない:
名めい刺し :
名な
乗の
る:
身み
分ぶんしょうめいしょ証明書:
敬けい意い を払はらう:
明あきらか(な):
格かくうえ上:
文ぶんけん献:
記き
述じゅつ:
そのもの:
古こ
語ご

不ふ
在ざい:
戸こ
口ぐち:
隙すき間ま :
挟はさむ:
和わ
紙し

墨すみ:
自じ己こ
紹しょうかい介がわり:
さわやか(な)::
スタートする:
気き
分ぶん:
失しっぱい敗:
率そっちょく直(な):
認みとめる:
外がいしゅつ出:
お手て すき:
用ようけん件:
切き
り出だ す:
取とりひきさき引先:
退たいしゃ社:
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3 上かみ座ざ と下しも座ざ
 ご存ぞんじの方かたも多おおいでしょうが、上かみ座ざ は目め 上うえの人ひと(上じょう司し ・客きゃくじん人など)が座すわる
席せき、下しも座ざ は目め 下したの人(部ぶ
下か
や家か 族ぞくなど、もてなす側がわ)が座る席です。ビジネス
の世せ 界かいではこの席せき次じ が重おもんじられますから、ぜひ知し っておいてくださいね。「か
みざ」「しもざ」または「じょうざ」「げざ」とも呼よ ばれます。
一いっぱん般に、和わ 室しつでは床とこの間ま に近ちか
い席が上座、部へ
屋や
の出で
入い
り口ぐちに
近い席が下座となります。床の
間がない部屋では、出入り口か
ら向む かって右みぎ手て 奥おくや、庭にわなどの
見み
晴は
らしがよく、額がくや飾かざり物ものが
ある側が「上座」になります。
 なぜ床の間の近くが上座になったのでしょうか。それは床の間の歴れき史し をみる
とわかります。床の間は書しょいんづく院造りの特とくちょう徴で、もともと床の間は仏ぶつ画をかける
神しんせい聖な場ば 所しょであったため、部屋の一いちばんおく番奥の、出入り口から遠くて落お ち着つ いた場
所に造つくられました。そのため、客人や身み 分ぶんの高たかい人には、その神聖で落ち着く
場所に、座ってもらうようになったのです。
会かいしゃ社の応おうせつしつ接室では、部屋の入いりぐち口
から遠く、かつ入口が見み えるとこ
ろ、窓まどから景け 色しきなどがよく見み えて、
部屋の装そうしょくひん飾品や絵かい画が ・花はななどが観かん
賞しょうできる席が上座になります。そ
して、来客側にゆったり座ってい
ただくために、長なが椅い
子す
やソファーを配はい置ち するのが礼れい儀ぎ です。出入り口に近い方
が下座なのは、出入りが頻ひんぱん繁にあると、落ち着かない気き 分ぶんになるため、大だい事じ な
人を座らせるわけにはいかないからです。
87
座」となります。また、持も ち主ぬし
本ほんにん人が運転する場合は助じょしゅせき手席が
「上座」となります。タクシー
などでは、目下の者が精せいさん算をし
て降お りることを忘わすれないでくだ
さい。
新しんかんせん幹線のような場合、進しんこうほう行方
向こうを向いて、座る位い
置ち
の窓側が
上座です。通つう路ろ 側は下座になり
ます。しかし、「上座」の席に
破は
損そんや座り心ごこ地ち が悪わるいなどの不ふ
備び
がある場合は、そのことを伝
えて、自みずからその席に座るように
しましょう。
 エレベーターでは、入口から向かって左ひだりおく奥から順じゅんばん番に上座で、手て 前まえの操そう作さ ボ
タンのある方が一番の下座です。ボタンの位置が左さ 右ゆうどちらであっても、奥の
位置はかわりません。
 以い 上じょうが原げんそく則なのですが、上座であっても冷れいだんぼう暖房の風かぜが直ちょくせつ接当あ たる、また直ちょくしゃ射
日にっ光こうが当たる、逆ぎゃっこう光で目上の人が心地よく過すごごせないなどの場合があります。
そんなときには、その時ときどき々の状じょうきょう況に合あ わせて席を勧すすめるのが、ほんとうに相手
を気き づかったおもてなしと言えるでしょう。
88
新しいことば
ご存ぞんじ:
上かみ座ざ :
下しも座ざ :
もてなす:
席せき次じ :
重おもんじる:
床とこの間ま :
見み
晴は
らし:
額がく:
書しょいんづく院造り:
特とくちょう徴:
僧そうりょ侶:
経けいてん典:
原げんけい型:
取と
り入い れる:
仏ぶつ画が :
神しんせい聖(な):
落お
ち着つ く:
かつ:
景け
色しき:
装そうしょくひん飾品:
絵かい画が :
鑑かんしょう賞する:
ゆったり:
ソファー:
配はい置ち する:
頻ひんぱん繁(な):
~わけにはいかない:
助じょしゅせき手席:
タクシー:
精せいさん算する:
新しんかんせん幹線:
進しんこうほうこう行方向:
窓まどがわ側:
通つう路ろ 側がわ:
破は
損そん:
座すわり心ごこ地ち :
不ふ
備び

手て
前まえ:
操そう作さ ボタン:
原げんそく則:
冷れいだんぼう暖房:
直ちょくしゃにっこう射日光:
逆ぎゃっこう光:
心ここ地ち よい:
状じょうきょう況:
気き
づかう:
89
4 手て みやげと餞せんべつ別
 日本では知ち 人じんやオフィスを訪たずねるとき、菓か
子し
折おりなどを持も っていく習しゅうかん慣があり
ます。これを手て みやげと言い います。
 手みやげには、縁えんだん談や就しゅうしょく職の世せ
話わ
をお願ねがいするなど、改あらたまった訪ほうもん問のときに
持っていくものと、親しんこう交を深ふかめるために友ゆうじん人と会あ うときに持っていくものとあ
ります。改まった訪問のときの手みやげには、やはり改まった品しながいいでしょ
う。行く途と 中ちゅうで買か うのではなく、事じ 前ぜんに心こころを込こ めて選えらん
だ品を用よう意い しておきましょう。お菓子なら、老しにせ舗や名めいてん店
の品ひん格かくの感かんじられるものがいいでしょう。
 お祝いわい事ごとなら、お酒さけやお祝いの品が適てきしています。の
し紙がみには「ご銘めい菓か 」あるいは「粗そ 品しな」と表おもて書が きし、下したに
は姓せいだけでなく名な 前まえも書くのが正せいしき式です。手みやげをい
つ手て 渡わたすかですが、先せんぽう方であいさつをした後あと、「ごあい
さつのしるしに」とか「つまらないものですが」とか言い
って風ふ
呂ろ
敷しきや袋ふくろから取と り出だ し、品物の正しょうめん面を相手に向む け
て、両りょう手て で差さ し出だ すのが和わ 式しきマナーです。受う け取と る方は、
ありがたくいただき、一いったん旦、座ざ 敷しきの高たかいところに納おさめ、
次つぎにその場ば を離はなれるときに持って出ます。なお、風呂敷
や空あきぶくろ袋は自じ 分ぶんで持ち帰ります。
以い
上じょうが正せいしき式の手みやげ授じゅじゅ受の作さ 法ほうなのですが、親しんこう交が
目もくてき的の場合の手みやげは、形けいしき式ばったり、気き
取ど
ったりす
る必ひつよう要はありません。手づくりのケーキやジャム、庭にわに咲さ いた花はななども喜よろこばれ
るでしょう。 受け取るほうも体ていさい裁ではなく、率す 直なおな気き
持も
ちを表あらわすことが大たいせつ切で
す。手みやげを出されたら「開あ けてもいいですか」と断ことわって、その場ば で包つつみを
開ひらき、すぐに「うれしい」とか「素す 敵てき」と感かんそう想を伝えます。品物が花なら、す
ぐ花か 瓶びんに活い けて部へ
屋や
に飾かざりますし、食しょくひん品なら器うつわに盛も って、「いっしょにいただ
きましょう。」と勧すすめます。その場で開けて喜よろこびを表すのは、日本の古ふるい作法
90
ではよくないとされていましたが、欧おうべいしゃかい米社会ではこれがマナーですし、親したしい
間あいだがら柄には欧米風しきのほうが自し 然ぜんではないでしょうか。
餞せんべつ別には、転てんきょ居・転てんしょく職する方かたへ、「これからもよろしく」「お元げん気き で」と心を
込こ
めて贈る場合と、旅りょこう行に出る方へ贈る場合とがあります。転居先さきや旅たびさき先で役やく
立だ
つような物ぶっぴん品や金きんせん銭を贈るのですが、欧米では餞別に金銭を贈ることはない
ようです。
 転居・転職の場合は、親しくしていた近きんじょ所の方や職しょく場ば 仲なか間ま に、お別わかれの二~
           三
週しゅうかんまえ間前から当とうじつ日までに贈るといいでしょう。体裁は、
           
紅こうはく白五ご 本ほんの結むすびきりの水みずひき引がついた、のし紙がみかのし袋ぶくろ
           に「餞別」「はなむけ」などと書きます。ただし、
目め
           
上うえの人には「餞別」と書くと失しつれい礼にあたるので、その
           場合は「
御おんれい礼」と書きます。餞別へのお返かえしは必要あ
           りませんが、
新あたらしい土と
地ち
や職場に無ぶ
事じ
移うつったという報ほう
           告こくを添そ えて、必かならず礼れいじょう状を出しましょう。
 旅行する人への餞別については、特とくべつ別の目的や立たち場ば での旅行に限かぎって餞別を
贈るというのが一いっぱんてき般的です。例たとえば重じゅうよう要な意い
味み
のあ
る会かい議ぎ や会かいごう合に出しゅっせき席する場合、何かの代だいひょう表として催もよお
しなどに参さん加か する場合、長ちょう期き 間かんかいがい海外に滞たいざい在するよう
な場合があります。旅の準じゅん備び を始はじめるころから出しゅっぱつ発
の一いちりょうじつまえ両日前までに贈るようにします。体裁は紅白の
花はなむす結びの水引きを使います。
最さい後ご に参さんこう考までにお話ししますが、日本からのお土み 産やげで外国の方に喜よろこばれる
贈り物は、浮うき世よ
絵え
入りの風呂敷や手ぬぐい、扇せん子す ・団うちわ扇などだそうです。
<結びきりの水引>
<花結びの水引>
91
新しいことば
訪おとねる:
菓か
子し
折おり:
手て
みやげ:
縁えんだん談:
就しゅうしょく職:
世せ
話わ

改あらたまる:
親しんこう交を深ふかめる:
やはり:
老しにせ舗:
名めいてん店:
品ひんかく格:
のし紙がみ:
ご銘めい菓か :
粗そ
品しな:
表おもて書が きする:
ごあいさつのしるし:
風ふ
呂ろ
敷しき:
空あきぶくろ袋:
座ざ
敷しき:
納おさめる:
形けいしき式ばる:
気き
取ど
る:
手て
づくり:
ジャム:
体ていさい裁:
率そっちょく直:
さっそく:
断ことわる:
包つつみ:
素す
敵てき(な):
感かんそう想:
花か
瓶びんに活い ける:
食しょくひん品:
器うつわに盛も る:
勧すすめる:
欧おうべいしゃかい米社会:
間あいだがら柄:
餞せんべつ別:
転てんきょ居:
転てんしょく職:
結むすびきり:
水みずひき引:
のし袋ぶくろ:
はなむけ:
御おんれい礼:
お返かえし:
催もよおし:
滞たいざい在する:
一いちりょうじつ両日:
花はなむす結び:
浮うき世よ
絵え

手て
ぬぐい:
扇せん子す :
団うちわ扇:
92
5 面めんせつ接の知ち 識しきとマナー
面めんせつ接は、よく「段だん取ど り8分ぶ ! 残のこりの2分は機き 転てんと人ひとがら柄」と言われます。面接
に成せいこう功する人というのは、日ごろから自じ 分ぶんの能のうりょく力や長ちょうしょ所・短たんしょ所、経けいけん験などをき
ちっと整せい理り して、面接の中で「自じ 分ぶん自じ 身しんを正せいかく確に説せつめい明できる」人でしょう。
              まず、面接へ行く前まえに、持も っていくものや身み だ
             しなみのチェックをしておいた方ほうがいいですよ。
             第だい一いち印いんしょう象はとても大だい事じ です。
              さて、面接は、求きゅうじんがわ人側が応おう募ぼ 者しゃほんにん本人と直ちょくせつ接会あ い、
             応募書しょるい類の記き 入にゅう事じ 項こうの確認と書類だけではつかめ
             ない人にんげんせい間性を探さぐるための機き 会かいです。社しゃふう風に合あ う
かどうか、協きょうちょうせい調性はあるか、仕し 事ごとへの熱ねつ意い はどうか、人間的な魅み 力りょくや生い き方かたに
信しんねん念があるか、などがチェックポイントですが、これから面接の実じっさい際の流ながれに
そって、面接のマナーをチェックしてみましょう。
  [以下、イラスト等、埼さいたまけん玉県「彩さいの国くに仕し 事ごとはっけん発見システム」に基もとづく。]
1 部へ
屋や
に入はいる
  面接室しつのドアをノック(ゆっくり2回)する。
 (「お入はいりください」の声こえがかかってから入にゅうしつ室)
 ⇒入室
  まず、面接官かんに軽かるく一いちれい礼【会釈15 度】
  「失しつれい礼いたします。」
 ⇒面接官の前まで進すすむ。
 ⇒椅い
子す
の左ひだりがわ側に立た つ。
● 背せ 筋すじを伸の ばす。踵きびすをつけ、爪つまさき先は少し開ひらいて直ちょくりつ立不ふ 動どう。
●  手て はまっ直す ぐ伸ばして、ズボンの折お り目め に添そ える(男性)。
●  手は前まえで重かさねる(女性)。
93
●  笑え 顔がおで、明あかるく、視し 線せんは面接官に。
     「○○○○(姓せいめい名)と申もうします。よろしく
     お願ねがいいたします」【敬けいれい礼:30度ど のお辞じ
儀ぎ

2 椅い
子す
に座すわる
 面接官:「○○さんですね。どうぞお座すわりください。」
 求職者(立ったまま):「はい、ありがとうございます。失しつれい礼いたします。」
 ⇒座る。
●  背せ 中なかは軽かるく椅子の背せ に・背せ 筋すじを伸ばす。
●  手は軽かるく握にぎって膝ひざの上に置お く(男性)。
●  手は重かさねて膝の「上に置く(女性)。
 面接官:「私は人じん事じ の△△です。こちらは▽▽です。」
     「○○さん、貴あなた方の(経けいれき歴/自じ
己こ
紹しょうかい介/ 自己
     PR…)をしてください。」
 求職者:【軽くうなずき、面接官の目を見ながら「はい」と返事】
     「はい、私は………………………………………………」
     (応募書類にまとめてある内ないよう容を落お ち着つ いて話す)
3 本ほんろん論に入はいる
 志し 望ぼうどう動機き 、退たいしょく職理り 由ゆう、性せいかく格(長ちょうしょ所・短たんしょ所)、前ぜんしょく職の仕事内ないよう容、職しょく務む 経けいけん験、
 その他た さまざまな角かく度ど から硬こうなん軟織お り交ま ぜた質しつもん問がされます。
  答こたえ方かたとして、注ちゅう意い するのは以い
下か
の点てんでしょう。
● 求職者は自じ 信しんある態たい度ど で、ハキハキと答える。
●  まず結けつろん論を述べる。聞き かれたら理り 由ゆうを具ぐ 体たいてき的に説せつめい明。
●  質しつもん問の意い
味み
がわからない時とき、わからないまま曖あいまい昧な答えはしない。
     「申もうしわけありません。もう一度おっしゃっていただけますか。」
     「……というのは、……ということでしょうか?」(確かくにん認)
●  以い 前ぜんつと勤めていた会社を非ひ 難なんすることは絶ぜったい対にしない。
94
●  退たいしょく職理由をきちんと整せい理り し、前まえ向む きな理由にしておく。
●  軽くうなずきながら質しつもん問を聴き く。はいと返へん事じ をして答える。
●  笑え 顔がおで相あい手て の目め を見み て話す。ジェスチャーを交まじえてもよい。
4 終しゅうりょう了から退たいしつ室まで
 面接官:「それでは、最さい後ご に何か質問はありますか。」
 求職者:「はい、………………………について、お聞き かせください。」
 面接官:「はい、それではこれで結けっこう構です。結けっ果か は○○日後に、△△の方ほうほう法
     でご連れんらく絡いたします。」
 求職者:(椅子の左側に立つ)「本ほんじつ日はありがとうござ
     いました。是非よろしくお願いいたします。」
     【心をこめて最敬礼(45 度のお辞儀)】
 ⇒退室 ドアのところで、面接官に一礼【会釈15 度】    
面接の流れとマナーについて確認できましたか。
よくある質問事項
● 志し 望ぼうどう動機き はなんですか?
●  なぜ、当とうしゃ社に応おう募ぼ したのですか?
●  あなたは、当社で何なにをやりたいのですか?
●  あなたは、当社で何ができますか?
●  あなたの長ちょうしょ所・短たんしょ所はなんですか?
●  あなたの趣しゅ味み および特とく技ぎ はなんですか?
●  今までの職しょくれき歴を説せつめい明してください。
●  前まえの会かいしゃ社を退たいしょく職した理り 由ゆうはなんですか?
●  これだけは人ひとに負ま けないと思おもうものはなんですか?
●  今までで、一いちばんおお番大きな失しっぱい敗はなんですか?
●  この会社の他ほかに、どのような会社を受う けていますか?
95
新しいことば
面めんせつ接:
段だん取ど り:
ー分ぶ :
機き
転てん:
人ひとがら柄:
長ちょうしょ所:
短たんしょ所:
経けいけん験:
自じ
分ぶん自じ 身しん:
身み
だしなみ:
チェック:
第だいいちいんしょう一印象:
求きゅうじんがわ人側:
応おう募ぼ 者しゃ:
人にんげんせい間性を探さぐる:
社しゃふう風:
協きょうちょうせい調性:
熱ねつ意い :
魅み
力りょく:
信しんねん念:
踵きびすをつける:
爪つまさき先:
直ちょくりつ立不ふ 動どう:
折お
り目め :
経けいれき歴:
PR:
うなずく:
志し
望ぼうどう動機き :
業ぎょう務む 内ないよう容:
硬こうなん軟織お り交ま ぜる:
ハキハキと:
曖あいまい昧:
非ひ
難なんする:
退たいしょく職理り 由ゆう:
前まえ向む き:
ジェスチャーを交まじえる:
趣しゅ味み :
特とく技ぎ :
職しょくれき歴:
96
6 会かいしゃ社での言こと葉ば づかい
1 社内でのあいさつ
 ● 外がいしゅつ出する人へ
  「いってらっしゃい」:(訳)
  「お気き をつけて」:(訳)
 ● 外出から戻もどった人へ
  「お帰かえりなさい」:(訳)
  「お疲つかれさまです」:(訳)
<注:目め 上うえの人に「ご苦く 労ろうさま」とは言わないように。「ご苦労さま」は目上の人が使
うことばです。>
2 時じ 候こうのあいさつ
 ● 天てんこう候
  「いいお天てん気き ですね」:(訳)
  「はっきりしないお天気ですね」:(訳)
  「あいにくのお天気ですね」:(訳)
 ● 春
  「ずいぶんと暖あたたかくなりましたね」:(訳)
  「すっかり春めいてきましたね」:(訳)
 ● 夏
  「毎まいにちあつ日熱くて大たいへん変ですね」:(訳)
  「今ことし年の夏は、格かくべつ別に熱いですね」 :(訳)
 ● 秋
  「ずいぶん過す ごしやすくなりましたね」:(訳)
  「陽ひ が短みじかくなりましたね」:(訳)
 ● 冬
  「めっきり寒さむくなりましたね」:(訳)
97
  「暮く れも押お し迫せまってきましたね」:(訳)
<注:こうしたあいさつ言葉を覚おぼえておくと、会かい話わ の取と っかかりになります。>
3 謝あやまる
 ● 謝る
  「申もうしわけございません」:(訳)
  「誠まことに失しつれい礼いたしました」:(訳)
 ● 努ど 力りょくしたが、できなかったとき
  「お役やくに立た てず、申もうしわけございません」:(訳)
<注:相手が期き 待たいするような結けっ果か を出せなかったときは、あれこれ言い い訳わけをしないで、
先ま
ず謝あやまりましょう。事じ 情じょうを述の べるにしても、その後あとにしましょう。>
 ● 反はんせい省を表あらわす
  「二に
度ど
とこのようなことのないよう、注ちゅう意い いたします」:(訳)
 ● 遅ち 刻こくを詫わ びる
  「大たいへん変お待ま たせして、申もうしわけございません」:(訳)
  「出で がけに急きゅうよう用が入はいってしまいまして、…」:(訳)
<注:遅刻した理り 由ゆうがある場ば 合あいは、具ぐ 体たいてき的に説せつめい明しましょう。>
 ● 約やくそく束を変へんこう更するとき
  「誠まことに勝かっ手て なお願ねがいで、申もうしわけないのですが、…」:(訳)
  「大たいへん変申もうしわけありませんが、後ご 日じつ、お約束できませんか」:(訳)
<注:相手を気づかいながら提ていあん案します。変へんこう更の理り 由ゆうは率そっちょく直に伝つたえましょう。>
 ● 約束を破は
棄き
するとき
  「この件は、白はく紙し に戻もどさせていただけないでしょうか」:(訳)
  「申もうしわけありませんが、この話はなしはなかったことにしていただけないでしょ
  うか」:(訳)
<注:自じ 分ぶんの都つ 合ごうで一度契けいやく約したり、約やくそく束したことを破は
棄き
する場ば 合あいは、自じ 分ぶんに責せき任にんが
あることを明めいかく確にして、心から詫わ びて謝あやまりましょう。>
98
4 お礼れいを言い う
 ● 物ものをもらったとき
  「先さきほどは(/先せんじつ日は)けっこうな物をいただきまして」:(訳)
  「ちょうだいいたします」:(訳)
<注:「ちょうだいいたします」は名めい刺し を受う け取と るときにも使つかいます。>
 ● お世せ
話わ
になったとき
  「お世話になりました」:(訳)
  「恐おそれ入い ります」:(訳)
  「ご協きょうりょく力いただきまして、ありがとうございました」:(訳)
5 誘さそう
 ● 誘う
  「いろいろお忙いそしいでしょうが、ぜひ…」:(訳)
  「みなさま、お誘さそい合あ わせの上うえ、ぜひ…」 :(訳)
 ● 挨あいさつ拶かわり
  「お帰かえりの節せつにでも、ぜひお立た ち寄よ りください」:(訳)
  「近ちかくにおこしの際さいは、ぜひお立ち寄りください」:(訳)
6 依い 頼らいする
 ● 依頼する
  「~していただきたいのですが、お願ねがいできますか」:(訳)
  「~していただけませんでしょうか」 :(訳)
<注:日本では、たとえ上じょう司し が部ぶ
下か
に頼たのむ場ば 合あいでも、命めいれい令口く 調ちょうは避さ けます。>
 ● 前まえ置お きの言こと葉ば
  「突とつぜん然のお願ねがいで恐きょうしゅく縮ですが…」:(訳)
  「折お り入い って、ご相談したいことがあるのですが…」:(訳)
  「お手て 数すうをおかけして、申もうしわけありませんが…」:(訳)
<注:人にものを依頼する時は、前まえ置お きの言こと葉ば を添そ えましょう。>
99
7 依い 頼らいを受う ける
 ● 引き受ける
  「承うけたまわりました」:(訳)
  「承しょう知ち しました」:(訳)
  「かしこまりました」 :(訳)
 ● 申もうし出で る
  「私にできることでしたら、なんなりとお申もうしつけください」:(訳)
  「どうぞ遠えんりょ慮なくおっしゃってください」:(訳)
8 相あい手て の呼よ び方かた
 ● 取とりひきさき引先の呼び方
  「御おんしゃ社」:(訳)
  「貴き 社しゃ」:(訳)
  「○○社しゃさま/○○商しょう事じ さま」 :(訳)
<注:「御社」「貴社」でもかまいませんが、できるだけ「○○社さま」のように、
正せいしき式名めいしょう称で呼よ ぶようにしましょう。>
 ● 自じ 分ぶんの会かいしゃ社の呼び方
  「弊へいしゃ社」:(訳)
  「小しょうしゃ社」:(訳)
  「当とうしゃ社」:(訳)
 ● 同どうりょう僚の呼び方
  「○○さん」:(訳)
  「○○くん」:(訳)
 ● 上じょう司し の呼び方
  「○○課か 長ちょう」:(訳)
  「○○部ぶ 長ちょう」:(訳)
<注:上司には、姓せいに役やくしょくめい職名をつけて呼よ びましょう。>
100
9 話はなしの切き り出だ し方かた
 ● 尋たずねる
  「恐おそれ入い りますが、どちらさまですか」:(訳)
  「つかぬことをお伺うかがいしますが」:(訳)
  「立た ち入い ったことを伺うようですが、…」:(訳)
  「この点てん(/件けん)は、どうなさいますか」:(訳)
<注:お客きゃくさまがお見み えになったとき、いきなり「どなたですか」と聞き くのでなく、「恐
れ入りますが」と一ひとこと言添そ えた方ほうがいい印いんしょう象になります。>
 ● 個こ 人じんてき的な話を切り出す
  「私わたくしごと事で恐きょうしゅく縮ですが、…」:(訳)
  「個人的な話ですけれども、実じつは…」:(訳)
<注:個人的な話を切り出す場合、こうした前まえ置お きの言こと葉ば を加くわえましょう。>
10 会かいしゃほうもん社訪問と来らいきゃく客との応おうたい対
 ● 訪問したとき
 【約やくそく束があるとき】
  「お忙いそがしいところを恐おそれ入い ります」:(訳)
  「○○社しゃの○○と申もうします」:(訳)
  「○○部ぶ の○○さまと、○時じ にお約束をしているのですが、…」:(訳)
<注:受うけつけ付で、会かいしゃめい社名・氏し 名めい、約束している相あい手て の名な をはっきりと告つ げ、呼よ び出だ して
もらいます。>
 【約やくそく束がないとき】
  「お約束はないのですが、営えいぎょう業部ぶ の○○様さまがおいででしたら、お目にかか
  りたいのですが、…」:(訳)
<注:基き 本ほんてき的に約束なしで突とつぜん然会あ いに行くのは、礼れい儀ぎ に反はんします。もし緊きんきゅう急を要ようする
ことで会いに行く場ば 合あいでも、丁ていねい寧に挨あいさつ拶し、事じ 情を話はなします。くれぐれも相あい手て の都つ 合ごう
を優ゆうせん先する姿し 勢せいを忘わすれないようにしましょう。>
101
 ● 来らいきゃく客への対たいおう応
  「いらっしゃいませ」:(訳)
  「遠とおいところを、よくお越こ しくださいました」:(訳)
  「わざわざお越しいただき、申もうし訳わけございませんでした」:(訳)
 ● 訪問先さきから帰るとき
  「本ほんじつ日はお忙いそがしいところ、お時じ 間かんをちょうだいして、申もうし訳わけございません
  でした」:(訳)
  「遅おそくまで、ありがとうございました」:(訳)
<注:帰かえる際さいは、時じ 間かんを割さ いてもらったことへのお礼れいを忘れないようにしましょう。>
 ● 来客が帰るときの対応
  「また、ぜひお立た ち寄よ りください」:(訳)
  「お気き をつけてお帰かえりください」:(訳)
  「本ほんじつ日はありがとうございました。○○社しゃちょう長(/さま/先せんせい生)にも、よろ
  しくお伝つたえください」:(訳)
<注:来らいほうしゃ訪者が気き
持も
ちよく帰れるような挨拶を心こころがけましょう。>
102
春はる
立春(りっしゅん)
 ● 2 月4 日ごろ
 ●春の始はじまり。この日から立りっ夏か の前ぜんじつ日までが春。
雨水(うすい)
 ● 2 月19 日ごろ
 ●雪ゆきの降ふ ることがなくなり、これから雨あめが降る
  ようになるという意い
味み

啓蟄(けいちつ)
 ● 3 月5 日ごろ
 ●冬とうみん眠をしていた虫むしが、穴あなから出で てくるころと
  いう意味。
春分(しゅんぶん)
 ● 3 月21 日ごろ
 ●昼ちゅう夜や の長ながさがほぼ同おなじになる。この日を境に
  昼ひるの方ほうが長くなり、本ほんかくてき格的な春が始まる。
清明(せいめい)
 ● 4 月5 日ごろ
 ●清せいじょう浄明めいけつ潔の略りゃく。気き
持もち



季き
節せつという意味。
穀雨(こくう)
 ● 4 月20 日ごろ
 ●春はるさめ雨が降って百ひゃっこく穀を潤うるおし、芽め を出だ させるという意味。
2月の花 水すいせん仙
3月の花 桃もも
4月の花 桜さくら
7 二に 十じゅう四し 節せっ気き と季き 節せつの花はな
103
夏なつ
立夏(りっか)
 ● 5 月5 日ごろ
 ●夏の始まり。この日から立りっしゅう秋の前日までが夏。
小満(しょうまん)
 ● 5 月21 日ごろ
 ●陽よう気き がよくなり、草くさ木き などの生い き物ものが次し 第だいに
  生せいちょう長して生お い茂しげるという意味。
芒種(ぼうしゅ)
 ● 6 月6 日ごろ
 ●芒(のぎ)のある穀こくもつ物の種たねをまくころという
  意味。芒というのは、稲いねなどにあるトゲのよ
  うな突とっ起き のこと。
夏至(げし)
 ● 6 月21 日ごろ
 ●一いちねんじゅう年中で一番昼ひるが長い。
小暑(しょうしょ)
 ● 7 月7 日ごろ
 ●梅つ
雨ゆ
明あ
けが近く、本ほんかくてき格的な暑あつさが始まるころ。
大暑(たいしょ)
 ● 7 月23 日ごろ
 ●最もっとも暑いころという意味。
5月の花 菖しょうぶ蒲
6月の花 梔くちなし子
7 月の花 
104
秋あき
立秋(りっしゅう)
 ● 8 月8 日ごろ
 ●秋の始まり。この日から立りっとう冬の前日までが
  秋。立秋以い 降こうの暑あつさを「残ざんしょ暑」という。
処暑(しょしょ)
 ● 8 月23 日ごろ
 ●暑さが収おさまるころという意味。
白露(はくろ)
 ● 9 月8 日ごろ
 ●野の の草くさに露つゆが宿やどって白しろく見え、秋の趣おもむきがます
  ます深ふかまるころ。
秋分(しゅうぶん)
 ● 9 月23 日ごろ
 ●昼ちゅう夜や の長ながさがほぼ同おなじになる。この日を境さかいに
  じょじょに昼ひるの方が短みじかくなる。
寒露(かんろ)
 ● 10 月8 日ごろ
 ●冷つめたい露つゆの結むすぶころ。
霜降(そうこう)
 ● 10 月24 日ごろ
 ●霜しもが降お りるころ。
8月の花 芙ふ 蓉よう
9月の花 竜りんどう胆
10 月の花 紅もみじ葉
105
冬ふゆ
立冬(りっとう)
 ● 11 月7 日ごろ
 ●冬の始まり。この日から立りっしゅん春の前日までが冬。
小雪(しょうせつ)
 ● 11 月22 日ごろ
 ●冷ひ え込こ みが厳しくなり、小こ 雪ゆきがちらつくころ。
大雪(たいせつ)
 ● 12 月7 日ごろ
 ●雪ゆきが大おおいに降ふ り積つ もるころ。
冬至(とうじ)
 ● 12 月21 日ごろ
 ●一いちねんじゅう年中でで一番昼が短みじかい。寒さむさはこれからが
  厳きびしくなるが、日ひ 脚あしは徐じょじょ々に伸の びてくる。
小寒(しょうかん)
 ● 1 月5 日ごろ
 ●寒かん気き はまだ最さいこう高ではないが、寒さがいよいよ
  厳しくなっていくころ。この日が「寒かんの入い り」
  で節せつぶん分までが「寒かんの内うち」。
大寒(だいかん)
 ● 1 月21 日ごろ
 ●一年中で最もっとも寒いころ。
1月の花 椿つばき
11 月の花 石ざくろ榴
12 月の花 梅うめ
 
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