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仕事中にタバコ休憩はどこまで許されるか?
■職務専念義務
飲食店内や路上など、外出先で吸える場所が急速に減り、さらに10月から大幅に値上げされたタバコ。家庭内でも煙たがられ、肩身の狭い思いを強いられている喫煙者も多いのではないだろうか。
では、職場における従業員の喫煙行為はどれだけ許容され、あるいは制限されるものなのか。
まず、会社の就業規則では通常、法律などの社会規範に反した従業員に対する懲戒を定めている。一般の歩道上の喫煙禁止区域で吸っていたのならば、自治体の条例に反する行為となるため、会社から懲戒処分を受けたとしても仕方がない。
問題は、公共の喫煙禁止区域ではない、職場の敷地内などで従業員が喫煙をした場合である。
労働環境上の法律問題に精通する、社会保険労務士の北村庄吾氏によると「まず前提として、喫煙は個人の趣味嗜好の問題なのだから、喫煙習慣のある従業員を、そうでない従業員と比較して、差別的な取り扱いをしてはならない」と説明する。
たとえば、普段タバコを吸っているということを根拠に、その従業員を会社は解雇できないことはもちろん、何らかのペナルティを科したり、配置転換などをする措置も、人事権や懲戒権の濫用として無効となる。
「健康増進のために、わが社では喫煙者と非喫煙者には違う人事制度体系を設けるとか、人事評価に関して、喫煙者か否かの事情も加味するなどという扱いは許されない」(北村社労士)
喫煙者同士における交流でしか得られない情報が多くあるのも事実である。たとえ地位や立場が異なっても、喫煙室の中だから親密になれる間柄もある。その中には、業務にとって有用な糧となる情報も含まれるだろう。そういった濃密な営みも捨てがたいところだ。
とはいえ、喫煙そのものは私的な性格を帯びる行為といえる。労働基準法34条3項は「使用者は(中略)休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めている。休憩中に従業員がタバコを吸うことは許されるけれども、勤務時間中には許されないのは当然のことである。
「たとえば、ビルの10階にオフィスがあるとして、休憩時間でもないのに内勤の従業員が、1階まで下りていって喫煙しているとすれば、勤務時間中にサボっているわけで、職務専念義務に違反する行為だといわれても仕方がない」(同)
会社に勤める以上、勤務時間は会社から課された職務に専念しなければならない。違反した場合は、社内で懲戒処分や人事的なマイナス評価を受けたりしたとしても文句はいえない。
ただ、職務専念義務に違反する従業員の行為とは何か、という問題は難しく、一概に定義づけられるものでもない。現在の最高裁判所が、会社の業務や従業員の職務の性質・内容、その行動の態様など、さまざまな事情を酌みながら総合的に判断すべきである、との立場を採用しているためだ。
北村社労士は、タバコに関する社内ルールを整備せず、勤務時間中でも喫煙室へ行ってタバコを吸うことが黙認されていれば、職務専念義務に反しない可能性が生じると指摘する。
「たとえば、午前中は3本までタバコを吸うことを許可するとか、5分間の喫煙休憩を入れるなど、休憩時間を明確にしたほうがいい。しかし、そこまでの労務管理を行っている企業はなかなかない。大半の会社は、数分間のトイレ休憩やお茶休憩をカウントして、いちいち給料を引くことまではしていない。それと同じような扱いで、なし崩し的に喫煙を見過ごしているのが現状ではないか」(同)
その会社における社長や重役自身が喫煙者か否か、あるいは喫煙習慣がないほかの従業員のタバコに対する許容度などによっても、社内でのタバコの扱いは変わりうるだろう。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101015-00000001-president-bus_all
■職務専念義務
飲食店内や路上など、外出先で吸える場所が急速に減り、さらに10月から大幅に値上げされたタバコ。家庭内でも煙たがられ、肩身の狭い思いを強いられている喫煙者も多いのではないだろうか。
では、職場における従業員の喫煙行為はどれだけ許容され、あるいは制限されるものなのか。
まず、会社の就業規則では通常、法律などの社会規範に反した従業員に対する懲戒を定めている。一般の歩道上の喫煙禁止区域で吸っていたのならば、自治体の条例に反する行為となるため、会社から懲戒処分を受けたとしても仕方がない。
問題は、公共の喫煙禁止区域ではない、職場の敷地内などで従業員が喫煙をした場合である。
労働環境上の法律問題に精通する、社会保険労務士の北村庄吾氏によると「まず前提として、喫煙は個人の趣味嗜好の問題なのだから、喫煙習慣のある従業員を、そうでない従業員と比較して、差別的な取り扱いをしてはならない」と説明する。
たとえば、普段タバコを吸っているということを根拠に、その従業員を会社は解雇できないことはもちろん、何らかのペナルティを科したり、配置転換などをする措置も、人事権や懲戒権の濫用として無効となる。
「健康増進のために、わが社では喫煙者と非喫煙者には違う人事制度体系を設けるとか、人事評価に関して、喫煙者か否かの事情も加味するなどという扱いは許されない」(北村社労士)
喫煙者同士における交流でしか得られない情報が多くあるのも事実である。たとえ地位や立場が異なっても、喫煙室の中だから親密になれる間柄もある。その中には、業務にとって有用な糧となる情報も含まれるだろう。そういった濃密な営みも捨てがたいところだ。
とはいえ、喫煙そのものは私的な性格を帯びる行為といえる。労働基準法34条3項は「使用者は(中略)休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めている。休憩中に従業員がタバコを吸うことは許されるけれども、勤務時間中には許されないのは当然のことである。
「たとえば、ビルの10階にオフィスがあるとして、休憩時間でもないのに内勤の従業員が、1階まで下りていって喫煙しているとすれば、勤務時間中にサボっているわけで、職務専念義務に違反する行為だといわれても仕方がない」(同)
会社に勤める以上、勤務時間は会社から課された職務に専念しなければならない。違反した場合は、社内で懲戒処分や人事的なマイナス評価を受けたりしたとしても文句はいえない。
ただ、職務専念義務に違反する従業員の行為とは何か、という問題は難しく、一概に定義づけられるものでもない。現在の最高裁判所が、会社の業務や従業員の職務の性質・内容、その行動の態様など、さまざまな事情を酌みながら総合的に判断すべきである、との立場を採用しているためだ。
北村社労士は、タバコに関する社内ルールを整備せず、勤務時間中でも喫煙室へ行ってタバコを吸うことが黙認されていれば、職務専念義務に反しない可能性が生じると指摘する。
「たとえば、午前中は3本までタバコを吸うことを許可するとか、5分間の喫煙休憩を入れるなど、休憩時間を明確にしたほうがいい。しかし、そこまでの労務管理を行っている企業はなかなかない。大半の会社は、数分間のトイレ休憩やお茶休憩をカウントして、いちいち給料を引くことまではしていない。それと同じような扱いで、なし崩し的に喫煙を見過ごしているのが現状ではないか」(同)
その会社における社長や重役自身が喫煙者か否か、あるいは喫煙習慣がないほかの従業員のタバコに対する許容度などによっても、社内でのタバコの扱いは変わりうるだろう。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101015-00000001-president-bus_all